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映画後に3人と話す


*パラドックスに誘拐されていたTF主人公

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「小波ー!!いやぁマジで無事で良かったぜ!心配したんだぞー!!」

「ちょ、十代落ち着いて… あ、武藤遊戯さんも不動遊星君にも迷惑かけちゃったみたいでどうもご心配を…」

「あぁ…いや、気にしないでくれ」

「無事で良かったね、小波君」



パラドックスが企てた大いなる野望は武藤遊戯、遊城十代、不動遊星の三人の手に因って打ち砕かれ、滅びの未来は一時的に回避する事に成功し、童実野町では無事にペガサスを特別ゲストとしたデュエル大会が開催されている。

三人が邂逅を果たしたビルの屋上では、互いを労う三人の姿と、十代の旅のお供である二人に加え、赤い帽子の男がペコペコと頭を下げていた



「ったくよぉパラドックスの奴…俺から取れるカードが無かったからって何も小波を取ってく事なかったよなぁ……」

「どうして攫われちゃったの?小波君は」

「いやぁそれが…全く覚えてないんですよね… パラドックス?の攻撃から逃げる為に十代に担がれ……いやまあ手を貸してもらってたところまでは覚えてるんですけど、どこでどんな風に攫われたのかさっぱりで… なぁ十代、俺はどうして攫われたんだ?」

「悪かったな小波…俺がもうちっと注意深く周りを見てたらあんな失態を犯すことは」

「…いやそこは分かったから、どうやってってのを」



いまいち噛み合っていない口論を始めた十代と小波の姿を
横からじっと見つめている遊星に疑問を持った遊戯が話しかける



「遊星君? どうしたの?」

「あ……いえ、似ているな、と思って」

「似てる? 小波君が?」

「はい 俺のいる世界にも、似た姿をして同じ名前の小波がいるんです」

「へぇ…!」



不思議な話だが、何となくその話を飲み込めるような気がした。
あのパラドックスもデュエル中に「時空を跨ぐ者」と称していた小波は、確かに変わった男に思える。
纏っている雰囲気と言うのだろうか、とてもあやふやで何者にも例えられない空気を醸し出しているのに、それが上手く十代と重なり合っているのだ。
二人の口論はいつの間にか、十代の「いかに小波が危なっかしくて心配で目が放せられない存在であるか」と言う談義に変わっていた。色々と思い当たる節があるようで強く言い返せれなくなっている小波に味方をしている大徳寺も尻込み気味だ






「――では、俺はそろそろ元の世界に戻ります 仲間の皆も、待っていてくれていると思いますし」

「なら俺たちもそろそろ出発するか、小波」

「そうだな  あの、武藤遊戯さん」

「ん?なに?」

「帰る前に、その、あ、握手してもらってもいいですか!?」

「えっ、あ、うん。勿論!」

「ふわああああありがとうございます!!じ、実は俺武藤遊戯さんの大ファンでその、さっきからずっと興奮してましたと言うかそのえっと武藤遊戯さんに助けられたこと永遠に忘れません!!」

「あはは…ありがとう」

「………おい小波、もーいいだろ。いこーぜ」

「あ、うん」



ぶすくれた顔で手を引く十代に釣られ、小波も自分の荷物を背負い帽子を被りなおして「本当に、ありがとうございました!」とお礼を言った。

三人に向けて緩く手を振った遊星も、赤き龍の中へと飲み込まれるようにしてDホイールごと姿を消した。



「じゃあ、遊戯さん!また何処かで!」

「さようなら!」

「うん、二人とも 元気で」



そして二人の姿も見えなくなった