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Protoform


僕が最初に"彼"を視認した時、彼は何本ものケーブルと歯車によって作られた鋼鉄の椅子に座っていた。カードの中の絵柄と全く同じポーズのまま。
そして表情のない機械の顔を呆然と見上げていた僕の方に向けて、くぐもった声でこう言ったんだ。


『 ハジメマシテ、マスター』


その時の僕のテンションと言ったらなかった。
でも今は夜の9時で、叫んだらきっとお母さんに怒られる。早く寝なさい、いつまでカードを触ってるの、まったく明日も学校なのに、って。だけど、だけど!
デュエルを始めたばかりだった僕のところにカードの精霊が現れた。
しかもそれが、僕が一番最初に父さんから貰ったカードの≪機械王−プロトタイプ≫だって!


そんな、気分は最高、喜びが有頂天に達していた僕に、
彼は何とも衝撃的な言葉を被せてくる。


『マスターノデュエリストレベルハ同年代ノ小学男児ノデータト照合シマシテモ最弱レベルデアルヨウデスネ。全クナッテオリマセン。コノ私ノマスタートナルオ方ニハ、モットモット強クナッテモラワネバ、ユクユクハ最高ノ機械タル王ニナラネバイケナイ私ヲ持テ余スコトニナリマスヨ!』


――何とも利己的で、打算的で、子どもを慮る発言をすることが出来ない無神経な機械『プロト』


難しい単語と、早口で喋るプロトのせいで彼が言うことの半分も理解出来ずにいた僕が唯一聞き取れたのは、
「"最高の機械の王様"!? それってすごくカッコイイじゃん!!」
このワンフレーズのみ。