"あの"伝説の名に並ぶに等しいチームコンボイの面々の話題が
俺たちの間に出て来ない日はなかった
時には雑談の中で
時には組み手の最中に
時には休憩の時に
時には宇宙の他の惑星を2人で眺めながら
曰く、お前より先に強くなってあのチームに入る
曰く、俺も伝説に名を刻みたい
曰く、どちらかがどちらかより強くなっても、そのどちらかを嗤わないこと
最後のソレは、ほぼ約束のような形だった
俺とアイツはただの同期、と呼ぶには余りに素っ気無く感じる程度の間柄
勿論、大切な 仲間だ
≪おいロードバスター!グランドコンボイさんが組み手の稽古つけてくれるってよ!お前も早く来いよ≫
≪ま、待ってくれナマエ!まだオイル全部飲み干してないんだ!≫
≪あんましケチ臭いことばっか言ってると、置いてっちまうぞ。また今度俺が奢ってやるから、早くしろって≫
≪わ、分かったから待てって!≫
容器にまだ半分残っていたオイルを泣く泣く片付けて、
待ちきれないとばかりに入り口の壁を強く握りつぶしていたナマエの後に続いた
あのコンボイ殿に稽古をつけてもらえるなんて!と、
色めき立ってる他の仲間たちの間をすり抜けるようにして
ナマエがどんどん先を行く。自分はナマエよりも少し機体が大きいせいで、思うように稽古場に近づけないでいた
≪ちょ…通らせ……≫
ザワザワとした歓声のせいで自分の声がかき消されてしまう
前を走っていたナマエの姿はもう見えなくなっていた
≪ちょ…っと…、うぉ!?≫
≪何やってんだロードバスター 何で後付いて来ないんだよ≫
≪つ、付いてってたさ!でもお前が置いてったんだろ!≫
≪誰がお前の為に道筋切り開いてやってたと思ってるんだよ≫
あれ?そうだったの?と言う顔をしてしまったのがバレたのか、ナマエに盛大に溜息吐かれてしまった。…スマン
≪ロードバスター?何ボサッとしてるんだよ。シャキっとしろ≫
≪す、すみません副指令!少し、今火星に派遣されている士官候補生の仲間の事を考えてました≫
≪仕官候補生の?≫
≪はい!その中の1人にナマエって言う奴がいるんです。コイツが俺の友人で≫
≪へぇ?≫
≪ええ 自分が皆さんのチームへ参加させてくださいって頼んだ時に、ナマエも連れて来たかったなって≫
懐かしい昔の思い出だ。「畜生ロードバスターの奴、抜け駆けしやがった!!」と悔しがってるかもしれない
今度会った時、アイツの腕を引っ張ってコンボイ司令官に頼んでみよう
コイツは自分より強い立派な戦士です。一緒に戦わせてやってください、と
その後―――
グランドコンボイ司令官からの命令により、
ショックウェーブ、メガザラック、テラーコン達が襲撃をかけたマーズシティの援軍に向かえないことを余儀なくされ、
火星から逃げてきたスターセイバーたちの報告により、
火星にいた候補生仲間達が、ナマエが、敵の大群の侵略により壊滅したとの報せを受けたのだ