「ディーノっ!」
≪…ナマエ…!≫
初めて顔合わせをしてから今日で7回目、一ヵ月半ぶりのナマエの姿
笑うその顔に、不思議な感情と懐古の情が浮き上がる
差し出した両手に、ピョンっと乗り上げてきたナマエは楽しそうだ
「ディーノ!会いたかった!」
≪そうかよ。どうしてだ?≫
「え…どうして?うーん…どうして、って…会いたかったから…」
≪…そう言うものなのか、人間って≫
「わかんない!でも僕はディーノに超あいたかった!」
≪…ふん≫
ナマエとは、このナマエは違う気がする
いや、あいつの昔の姿は知らないから何とも言えはしないが
こんなに子どもっぽくて、天真爛漫な感じが不思議だった
「ディーノは、いつからここではたらいてるの?」
≪……そうだな、30年ぐらい、ってところか?≫
「そんなに!?ぼくが生まれてくるまえからだね!」
≪…ああ、だな≫
大体、俺はこのナマエに何を望んでいるんだか
ナマエとアイツを重ね合わせるなんて、双方に失礼極まりないことだと思った
こいつはこいつで、あいつはあいつ。当たり前だ
「ぼくもね、おっきくなったらパパみたいに軍人さんになりたいんだ」
≪…へぇ?≫
「だからねディーノ それまで僕を待っててね?」
≪は?≫
「ぼくも、ディーノとパートナーになりたいもん!」
≪!≫
ナマエが、いつか、俺のパートナーに、
≪……どうしようか?≫
「あ、ひどいよ!」
≪気が変わっちまうかもしれねぇぞ?≫
「いいよ、絶対にディーノをぼくだけに夢中にさせてみせるから」
≪…………マセガキ≫
「どういう意味?」
≪さぁな、パパにでも聞いてみな≫
やっぱり、こいつはあいつの生まれ変わりだ、絶対にそうだ
だってこんなにも、懐かしくて愛おしい
≪……ナマエ≫
「んー?」
≪お前も、大きくなったら俺を口説き落としてみせるのか?≫
「今からアプローチするから!」
≪へぇ、せいぜい、頑張るんだな≫
「うん!」
もうすでに、お前に落ちているなんて
言ったってきっとこいつじゃ理解できねぇだろうから
言ってやらないでおこう
今日、久しぶりにナマエの墓に行ってみようか
ナマエ、俺はまた、お前と出会うことが出来たぞ