「なんでお前が此処にいるんだ」
《…問題でもあるのか?》
「ありまくりだろディセプティコン」
《なんだ?NEST隊員殿》
「テメェ……」
悪態を吐いて、手元の資料に視線を戻してしまったナマエが
何故か腹立たしくて《オイ》と声をかけると無視しやがる
《ナマエ》
「……何だよ」
《私がいるのに存在を放置するとはどういう事だ》
「何だその我侭。こちとら仕事で忙しいのに、少佐から「お前んとこにあの黒い奴が来た」とか言われて駆り出されてんだからな。超迷惑だ」
《……なかなか物をズバズバ言う性格だな》
「こっちはこの性格でここまでのし上がって来たんでね」
そういうことだから、俺は基地内に戻る。お前はさっさと去ね。
そう言って背を向けたナマエに焦ってその身体を手で掴み上げる
その拍子に手に持っていた資料とやらがバサバサ、と落ちて行った
「お前は何がしたいんだ!!そして痛ぇ!もっと優しく掴め!」
《すまん》
「・・・・・・・・」
《……すまん》
「…お前、謝れば良いってもんじゃ…はぁ」
妙な奴に懐かれたもんだ、と零すナマエの顔は笑っていた
それの意味が分からなくて、《なんだよ》訊ねると、そいつは笑みを深くした
手の中で俺を見上げてくる小さい存在を落とさないように顔の近くまで持ち上げる
「バカだなブラックアウト」
《何…?》
「俺に会いたくて、淋しくなったのか?」
《!!》
「お、図星だったか?」
《そ、そんな訳あるか!》
「なんだ、残念だな」
《うっ…!》
ナマエは卑怯者だ。私がお前に頭部を撫でられたら何も言えなくなることを知っていて、そんな柔和な笑みを浮かべて俺を見てくるのだから
卑怯だ、卑怯すぎる、やっぱり今日も何も言えない
《ナマエの莫迦野郎…》
「たった一人の人間に会いに宇宙の彼方からはるばるやってくるお前には負けるさ、ブラックアウト」
スタースクリームに訊かれた。
―お前は何故あの人間の許へ行くのだと
そんなのは簡単だ。
ナマエの傍を、私の居場所にしたいからだ