TF男主長編 | ナノ
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横恋慕のなんと難しいこと


※両軍和解済み






《……》

「……………こいつらが迷惑かけて、本当にすまない」

《…》



今、ここ オートボット格納庫に到着した者はその光景の異質さに目を疑うかもしれない。
しかし、ずっとオートボット格納庫で成り行きを見守っている者たちからしたら心配でハラハラしていた。
我が軍の大切な人材がどうなってしまうのか、そして小さな双子がどのようになってしまうのか



普段はクールで口数も少ないエリート思考のナマエが珍しく焦りを表しており、冷や汗まで掻いていた。可哀想にナマエ、と隊員たちは一様に同情の念を送り合う。しかし本人には届かない



《もうそんなに謝らなくて良いんじゃねーの?》

《ソーそー、ドウせスタースクリームのことジャン》

「お前達はだぁってろ!」



口数は少ないが、口を開けば口悪くなるナマエの両隣には赤と緑のいつもの双子

そして彼の前にいるのはくすんだ金属色の存在。メガトロンだった
その顔はいつにもましてウンザリした表情を浮かべている。
眼前の3つの存在を見下ろしながら、
休戦してからひどくなった苦労性の部分を垣間見せる


《……虫けらよ、貴様もそこまでワシに平伏するな。どうせあの愚か者のせいなのだから》

「…しかし、あなたの部下に迷惑をかけたのは間違いなくこのバ……バカ二人だ。誠意を見せて謝らせねばならない」

《オイ、スキッズ、てめぇバカ呼ばわりサレてんぜ》

《お前に言ったんだぜナマエは》


「両 方 だ ! !」

《………》



ツインズが、スタースクリームへ悪戯をした。内容はそれだけだが、結果が酷い。

スタースクリームの背中にワイヤーを使ってかけ登り、そこで跳び跳ねたり頭をつついたりした。スタースクリームは、そんな二人を払い落とそうと振りもがき、そしてツインズに向かってエネルギーパルスを撃とうとした。しかしそれが暴発し、それがメガトロンに当たってしまった、という話だ。元を正せばどう考えてもツインズが悪かった


《気にするな。もうあの愚か者にはたっぷり制裁を加えたからな》

「…そうか?」

《怪我もしておらん。もう良い》

「…了解しました」


ナマエは渋々頷いた。
そんなナマエの肩にマッドフラップが手をポン、と置く


《俺たちもう許されたノカ?》

「……メガトロンが許しても俺が許さん!罰としてお前らにはみっちり働いてもらうからな!」

《ひー!ナマエがキレたー!》

《逃げロー!》

「バカ共待て!」



ナマエの制止の声も聞かずに二人は逃げていった。



「…ったく、」

《先にも言ったが、貴様は奴等の保護者なのか》

「…懐かれたから、面倒を見ている。…それだけです」

《…フン》

「…?…あの、何か」



あえて静かになった会話を盛り上げるなんて決してしないナマエだったが、メガトロンが不意に黙り込んだので一応反応を伺う


《…貴様、ディセプティコンの面倒も見る気はないか?》


心の底から言わせて貰おう



「…何故っ!?」


《虫けらだが貴様には統制力があると見た。その力を生かし、我が軍の色濃い奴等を御してくれ》


メガトロンは、本気だった


「あ、あなた一人でその役目は勤まるでしょう…!」


言葉の外に「これ以上、面倒を押し付けられてなるものか…!」という気持ちが滲み出ている訴えだった。

勿論ナマエは断るつもりだった。しかし、メガトロンの次の言葉を聞いて考えを改めた



《…ワシも、疲弊するのだ》

「…あ、ああ……」


生まれたばかりの卵の世話や勃発する両軍の喧嘩を諌なめ、オプティマスの訓練の相手役になる。

ナマエから見てもメガトロンは疲れそうな毎日を送っているのは明白だったが、まさか本当に疲れていたとは



「………」


もうナマエは自棄だった。


「……貴方の疲れを半減出来るのなら……俺で良ければ………はい」

《そうか!期待しているぞ!》

「…はぁ、」


自分のエリート人生に、何処から弊害が生じるようになったのか、
ナマエにはもう解らなかった。