TF男主長編 | ナノ
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
ネイキッド・ユー


≪タイムフリーズ≫


コラーダの腕に噛み付かれながら宇宙の外へと連行されかけていたナマエは、ハインラッドの技の呼びかけを聞くと同時に≪はぁ苦しかった≫と心にも思っていないことをまず口にした。
そしてその後、久方ぶりに再会した旧知の者に親しげに声をかける。
≪久しぶりだなハインラッド≫



≪呑気な言葉を聞きたくて時間を止めているのでは無いのだよナマエ 何故、別次元にいる筈の君が、この世界に存在している。何を考えて此処へ…≫
≪何度も言ったし、お前も何度も聞いた筈だろう。 オレは大切な者に会いに来たんだ≫
≪…ビッグコンボイのことかい?訳が分からない。もっと簡潔に分かりやすく説明してくれ。タイムフリーズの効果もそう長くは続かないのだよ≫


ナマエはやれやれと首を振った。相変わらず気障ったらしく、無意味な動きの多い。


先述のハインラッドの言うように、ナマエと呼ばれたトランスフォーマーは別次元――パラレルワールド上にて統べる者の統治のもと存在している時空調査員の一人である。ハインラッドとは多少任される任務の内容などは異なってはいるが、別次元や多空間の監視及び守護という内容は同じだ。そして、余程のことがない限り、時空調査員は自身が任されている世界線を越えた行動を取ってはならず、また不必要な干渉をしてはならない。現在ナマエがここに存在しているだけで、彼に科せられる罪科の数は片手だけでは足らないのだ。それを承知していて尚、彼は


≪あいつに会いたかった≫


と言っているのか。




≪…だから、訳が分からないんだと何度言えば…≫
≪ハインラッド、オレには恋人がいたんだ。 ある世界線でユニクロンのセンチネルとして生きていた堕ちたプライムなんだがな≫
≪!?……今の話を聞いて、また君に二つほど罪が追加されたわけだが…≫
≪任務の途中で出会ってな、愛してしまったんだ。許せ≫
≪私に許しを乞うのは間違いだぞ!それにユニクロンの衛士とだなんて……ナマエ、これが統べる者に知れたら君は…≫
≪消されるだろうな。だがその前にオレはどうしてももう一度姿が見たかった。別の時空で消滅したあいつの……ネメシスと同じ姿をしたビッグコンボイのことをな≫


"ネメシスプライム"

ああまったく眩暈がしそうだ。その名前をよもや、こんな状況で耳にしようとは。


≪…君は…どうやって…そんな奴と恋仲になど…≫
≪おお、それはだな……≫


ナマエが口を開いたところで、空間に歪みが生じ始めた。ハインラッドの技、タイムフリーズの限界時間が近付いている。
ナマエの話はまだもう少し続くようだったが、タイムフリーズが解けてサイバトロン戦士たちが自由になったところでは聞かせられない話になる。


≪…また折りを見て二人だけで話をしよう≫
≪オレは特にハインラッドと話したくはない。寧ろビッグコンボイと共に過ごしてたいんだが≫
≪…彼らに危害を加えるつもりは?≫
≪ない。恋人を失って物寂しい気分になってヤケっぱちになった奴の三文芝居なだけだ。神様に消されるまでは、自由にさせてくれよ≫


タイムフリーズの効果が完全に切れた。時間を取り戻した船内では、≪…あれ!?いつの間にコラーダの腕から抜けたの!?≫≪瞬間移動してんじゃねぇかよ!!≫とコラーダの腕からいつの間にか解放されていたナマエへの疑問が再度湧き始めている。
呆気にとられている者達の眼も気にせずに、もうハインラッドの方へも、生徒たちへも見向きもしていないナマエは ただじっとビッグコンボイへと目をやっているのであった。