TF男主長編 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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なにがほしいっていうの


宇宙を彷徨いあらゆる惑星を巡りながら、アンゴルモアカプセルを探索していた時のことだ。

船の一室で惰眠を貪っていたオレの元へナビが駆け寄って来た。何でも、訓練宇宙船ガンホー内に、"侵入者"がいるらしい。生徒たちでも、更に言えばデストロンの反応でもない怪しい反応が、メインルームにポツリ。
放っておけと言っておくわけにも行かず、どうせ漂流者か何かだろう早々に追い出せばいいと考えながら侵入者のところへと向かった。


確かに、メインルームに侵入者はいた。
だが、見たことのない姿をしている。ビーストモードではなく、バトルモードの姿のまま独り立っていた。
振り返った侵入者と目が合う。

するとその侵入者は、追い出しに来たオレの顔を見るなりとても嬉しそうに、

≪ ――会いたかった! 愛してる!≫

















≪ヤベェ奴だな。電波野郎か?≫
≪ビッグコンボイ、何故早々に追い出さないんです?≫
≪何度も摘み上げて宇宙に放り出したさ。だが…≫
『ビッグコンボイが何回外に追い出しても、いつの間にか船内に戻ってるのよ彼』
≪こ、怖い!!≫


スタンピーが自分の腕を抱えて大袈裟に飛び上がったが、確かに得体の知れない者であるという観点から見れば奴は「怖い」のやも知れん。かく言うオレも、10回目を越えてからは嫌気が差して追い出すのをやめた。
どういう目的や意図があってこの船に乗り込んで来たのか、それを生徒たちに問い質せようと思い(オレはやらん。面倒だ)皆を集め、先ほどからずっとニヤニヤと笑いながらオレを見続けてくる気持ち悪い侵入者を大人しく連れて来ている次第だ。

では、とロングラックが口火を開く。


≪これを訊けば一発で彼の真意が分かるでしょう。  貴方はサイバトロンですか?それともデストロンですか?≫

≪どちらでもない≫



初っ端から難航しているな。



≪ど、どちらでもないって……≫
≪オウオウ、テメェ!ふざけてやがんのか?!今自分がどういう状況にあるか分かってんのかよ!≫

気性の荒いブレイクがブレイクアンカーを構えながら脅しているが、侵入者は平然とした様子で まだオレの方を見て笑っている。≪オレらの方を見やがれぇー!!≫ブレイクの声もまるで無視だ。


≪お、お名前は?≫
≪ああ、ナマエと言う≫


"ナマエ"

全くもって聞き覚えのない名前だ。知り合いにもいない。

ならば何故「愛している」などサムイ言葉を言われなければならない謂れがあったのか甚だ疑問だ。


≪この船にはどんな目的があって乗船したんだ?≫
≪彼に会いに≫

指を指され、生徒たちが一斉に目線を向けてくる。いや、そう見られてもオレからは特に、


≪――愛してる お前の姿をもう一度見たくて、オレは宇宙を越えてやってきたんだ≫




≪コラーダ、外へ摘まみ出して来い≫
≪…了解だ≫
≪あぁそんな態度も懐かしい。やっぱりお前はそうでなくてはな≫
≪おいアイツ コラーダに雁字搦めにされながら平然としてんぞ≫
≪す、すごい……≫
≪感心してる場合かい!≫