TF男主長編 | ナノ
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ジンブ


不可思議な現象だ。これは何を意味しているのだろう。

ジンブは誰に言うでもなく自問した。
現在、帯刀家の地下にあるオートボット基地には例に漏れずジンブ、ガンオウ、ケンザン、そしてナマエの四名が駐在している。その内の人間一人のことをじっと見つめていたジンブは、先ほどの疑問にまたも行き着いていた。

何故 己は ケンザンの後を追っているナマエの後ろを目で追っているのだろう。

幾ら考えても意図が分からない。
だが理由なら幾らか作ることはできる。
追い回されてるケンザンが憐れであるので、その原因であるナマエのことを見ている。
レーダーに敵性反応が現れず暇を持て余しているので、時間つぶしの為に。
だがそれではどうも納得がいかない。それだけの義務的な理由であるならば、ジンブのスパークはこうも疼いたりなどしない筈だからだ。


「Please wait,ケンザーン!!」
≪勘弁してくれでござるぅー!!≫




 ズキン




滑稽な音が聞こえた気がした。
スパークに皹でも入ったのか? そんなまさか。スパークは硝子で出来てなどいない。そう易々と傷がつくようなものでも、ありはしないのだ。
その筈だ。でなくては一体全体これはどういう事象なのか。


≪…………ナマエ≫


試しに原因の名前を呼んでみた。
だが彼には届かなかった。
きっとそれが自分の辿る末路なのだろうと、理解出来ていないながらも聡明なジンブのコンピュータはそうと分かっているようだった。