ナマエは勇、侍チームと交わした協定をきちんと守っていた。
≪みだりに我等の存在を他人に話さぬこと≫
しかし、初めて言葉を交わした日に堅く堅く言いつけられたそんなことよりも、
ナマエは愛しのケンザンを追いかけることで日々必死だったのだ。
勇の家の地下に設営されたベース基地で、ナマエはケンザンのことを執拗に追い掛け回していた。
手にカメラを持った、いつものヲタクルックで
「Wait please,ケンザン!是非ボクのcameraのmodelになってもらえませんカー!!」
≪か、勘弁してくだされナマエ殿!わ、我はそのような事はしたくはないで御座る!≫
「Oh...なんと慎ましい…!それぞ日本人の美徳!"ケンキョ"…!ケンザン Very cooooooooooooool!!!!」
≪助けろジンブ、ガンオウー!!≫
≪そ、そうは言ってもだなケンザン……≫
勇が学校に通っている現在、この基地の中にいる者の中で常識を所持している数はロボットの方が多かった。
現在進行形で追い掛け回されているケンザンは別として、本来ならば常識を持っている側である人間のナマエがあの調子では、
ジンブも、ガンオウも、この不可思議な状況に困惑するばかりなのだ。
勇は子どもでありながらも多少の礼節を弁えた礼儀の正しい子どもだ。
しかしナマエはまた勇とは違っていた。勇よりも何歳も年上なのに、どうもテンションが高く周りがあまり見えていない傾向にある。"外国人"と言うらしいが、それでもこの高さは尋常ではないだろう。
それ程にケンザンのことを好きだと見た
≪…オプティマスに報告する必要があると思うか?ガンオウ≫
≪いいや?イイんじゃねぇか別に。面白ぇ人間じゃあねぇかよナマエも≫
ガンオウはナマエが気に入ったようだ。実を言うと、ジンブもナマエを気に入っている。
性格はご覧の通りあんな感じだが、日本と言う国を愛し、日本のことを勉強していると言う点ではナマエとジンブ達の境遇はとても似ているのだ。
ナマエから聞かされる外国の国の話は凄く興味深く、なかなか話していると良い人間なのだ、ナマエは
≪ケンザンもナマエと向き合えば良いのにな≫
推測だが、ナマエはケンザンが逃げるから追いかけるのであって、立ち止まってやればそれ以上の追跡はしないだろう。
だからケンザンも一度その足を止めて、ナマエと話の一つでもしてみれば良いのに。
ジンブはそう考えていたが、やはり自ら口にするのは差し出がましく感じてしまう。
勇が学校から帰って来たときに、代わりに告げて貰うとしよう。
「Hey!ケンザーン!お願いデスから止まってくだサーイ!!」
≪な、ならば先にお主から立ち止まってくだされ!!≫
「了解デス!」
≪なんと!?≫