TF男主長編 | ナノ
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ケンザン


レジェンディスクの反応もなく、プレダコン四鬼衆たちも姿を見せないのどかな休日の昼下がり
実家の道場の縁側で涼んでいた勇の許に、らしくない大声を上げながら駆け寄ってくる一台の青いパトカーの姿があった


≪い、勇! 勇ぃぃいいい!!≫

「え!?ど、どうしたのケンザン!」

≪た、助けて下さい! 珍妙な者に追われてい…!≫


駆け寄って来たパトカー――ケンザンが道場に辿り着くよりも先に、彼の足を止めた者がいた。

「え?」と困惑する勇がそこへ向かおうとしたが、
「待ってくださいSAMURAI−!写真撮らせてクダサーイ!」
と聞こえて来た声にも馴染みがあった。


「…あ!ナマエさんじゃないですか!!」

≪む!?知り合いの者なのか、勇!≫

「はい勇君!お久しぶりですねぇ、元気デスカ?」


カメラを手に持ち、ケンザンに向けてシャッターを押し続けているその外国人は、勇の家の道場の隣に住む親日家の外国人留学生のナマエだった。

アメリカの生まれだと言うナマエは、その整った涼しい目元がかっこいいと評判だが、何せ彼はオタクだった。
元々日本産のロボットに興味を持って日本への滞在を決めた変わり者で、今は大学生だが休みの日はいつも電車に乗って秋葉原くんだりにまで足を運びロボフィギュアを買い占めている生粋のオタク
外国との交流を持つことも日本文化をより知る為の第一歩じゃ!とじいちゃんに言われたこともあって、家に遊びに行ったり逆に招いたりと交流を持っていたこの外国人が何故、ケンザンを追い掛け回していたのだろう


「水臭いじゃないですか勇君!!」

「えぇっ、な、なにが?」


水臭い、なんて日本語を使ったナマエはそれはもうキラッキラとした目で拳を固く天に向けて突き上げた


「あれはボクがいつものようにまん○らけで思う存分ロボットフィギュアを買占め満足のまま帰路に付いていた日のことでした! ふと目を向けた帯刀氏の家の方から、なにやら大きな光が見えたのです! OH!もしや火事!? A fire!?と思ったボクが現場に駆けつけると、帯刀氏のお家の庭には、なんっっとも…cool & beautyな…それでいてthe Japanese designなRobotがいたのですヨ…!」

「え゛」

≪なんと!?≫


ところどころ流暢な英語を喋るナマエの話を聞いた勇とケンザンは揃って渋い声を出した。
よもや、我等の姿を見られていた、と
率先して隠しているつもりはなかったが、なるべく近隣住民に影響を与えないようにと注意していただけに、まさかの失態である


「ずるい!ずるいよ勇君!Not fair!Robotの知り合いがいたなんてボク知りませんでした!何故教えてくれなかったのですかWhy!」

「あ、あのねナマエさん 僕たちは地球を侵略しようとしてる悪い奴らを倒すための仲間で、何も知り合いとかってのじゃ…」

「エエッ!?」



なおさらズルイですよ勇君ー!!

ナマエは泣き出さん勢いだ。いや、既に泣いている。
それなら尚のこと自分も仲間に入れて欲しいと懇願している。あまりに泣き声が大きくて、これでは近所の他の皆に事態に気付かれてしまう!


「ど、どうしようケンザン!」

≪む!?わ、我はこの様な場合の対処はオプティマスからは教えられておらぬ故…!≫

「駄目デスカ!? Please let me join you!」

「え、英語されても分かんないよぉ!」










なんだかんだでナマエさんの勢いに負けたケンザンはナマエさんも仲間として認めたらしい。
≪我の必死の逃走に喰らいついて来たあの脚力と執念は、尋常ならざるものでしたので≫と言う何とも言えない理由を語ってくれた


その後基地に帰って来たジンブとガンオウを見てナマエさんの興奮は最高潮に達していた