ナマエはサウンドウェーブの部下ではない。他の雑兵やヴィーコン達を統率する隊長格であり、情報参謀であるサウンドウェーブ自らが直接命令を下せるような権限はない
サウンドウェーブは部下を持たない。必要がないからである
膨大とも言える情報の波に呑み込まれずに、逆にそれを操り司るのはサウンドウェーブにしか出来ないことで、他の何者もサウンドウェーブにとっては無用の長物だった
ナマエは部下を持つ。本人は未だ未熟、と言って聞かないが、
その力量と統率力は、少なくともメガトロン本人から降格を言い渡されない程度には優秀であった。何よりも大らかで腕の利くナマエは慕われている。
ディセプティコンに有るまじき、と言うほどではないが
故にサウンドウェーブは、他人の力を借りた事などないし、
ナマエは自分の力を他人に貸し与える事を厭いもしないのだ
≪まぁ、何だかんだ言ってしまったが、要するに俺が言いたいことは1つだ。 俺に何か手伝える仕事はないか?サウンドウェーブ≫
≪…… …≫
サウンドウェーブの細く長い指がコンソールを叩こうと浮かした形のままで停止している。器用な奴だな、とナマエは笑った
≪言い渡される予定だった任務を部下が代わってくれてな。時間が空いたんだ。平和に過ごしてたらメガトロン様に怒られるし、何かサウンドウェーブの手伝いが出来ないかと思ってな≫
≪…… ≫
≪いや、本当はノックアウトとか、色々いるしそっちに回った方が良いような気もするんだが…≫
サウンドウェーブが優秀的な意味でな?けど…、とナマエは不自然にそこで言葉を切り、声帯モジュールの奥で「あー、」と濁した
≪…なぜか真っ先に、お前の顔が浮かんでな≫
≪!≫
≪悪い お前が優秀で、他の奴の手なんて借りない事も分かってるつもりだったんだが…≫
≪…!≫
何を意味しているのか、サウンドウェーブは必死に首を振っている
その様子が彼に似つかわしく「必死」そのものであったので、
ナマエはサウンドウェーブの肩に手を置き、まぁ落ち着け。と声をかける。余計に動揺させてしまったようだ
≪もう一度訊いてもいいか?≫
≪ ≫
≪お前の手伝い、してもいいか?≫
サウンドウェーブは他人の力を借りない
何故ならそれは無意味であり、自分の行動の妨げにしかならないとブレインが理解しているからだ
サウンドウェーブは 他人の 力 を
≪……≫
≪ほんとか!助かるぜ!≫
≪……≫
何を言うのだろう ナマエは
たすかったのは 紛れもなく 私自身 であるのに