顔の前に差し出された物体は、茶色く萎びていた
≪一応、"花"だ Hydrangeaと言うらしいぞ≫
差し出してきた張本人は、差し出された者に
半ば押し付けるようにして手渡した。照れが生まれたのかもしれない
≪――…―?≫
ナマエから貰えるものは何であろうと嬉しかった
―任務に出ていた自分の為に保持されていたエネルゴン
―機体が汚れていたのを知って用意された洗浄剤
しかしこれは何なのか、正体が掴めず
不可解だ、と音を小さく鳴らした
≪地球探査していてな、少し東の方に足を延ばしてたんだ。そしたら小さな島国が見えて、こっそり降り立ってみた。そこに生えてたんだが…、なんだ…、その、この色合いがお前みたいでな。いくらか失敬してきたんだ。まぁ、ここに運んでくる迄に、生気を失ったようなんだが…≫
すまん、鮮やかな藍色をしていたんだ。お前に見せたかったんだが、これじゃあ分からないな、ゴミを押し付けてしまってすまない。捨ててくれて構わない。
と言う類の言葉が聞こえてきたが、サウンドウェーブはそれら全ての言葉に首を振った
鮮やかな藍色――それが己の色に似ていたと言われた
――生気を失った花の色
それがどうした。確かに彼が見せたかったと言う色合いを見れず話が出来ないのは残念だが、この花の色鮮やかな様を見て彼が己を思い出してくれた、それだけで充分だ
―ゴミを押し付けた
貴方から貰えるものならば、ゴミでも構わない。が、己にとってこれはゴミ等ではない
――捨ててくれて構わない
捨てられる訳 ない
≪………"ナマエ"≫
≪ん、ん?≫
≪……" Very Thanks. "≫
≪…ああ≫
地球のモノも、たまには役に立つではないか