TF男主長編 | ナノ
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笑う君が何よりも愛しくて


GSバイター男主×オプティマス






「ありがとございましたー!  ………あれ?」


今日最後の客が出て行くのを見届けて、制服の帽子を脱いで一息吐く。
すると向こうから眩しいほどにライトを照らしながら入ってくる大きなトレーラーの姿が見えた。確認したいのだが、逆光が眩しくて目を開けられない。なんだ?



「……まさか」



俺の傍の給油機に横付けし、光が消える。真っ青なボディに真っ赤なファイアパターンの独特なコーティングされた巨大なトレーラーは…



「… オプティマス、か?」



俺の呼びかけに応えるように、そのトレーラーは立ち上がった。


二足歩行のその存在は、GSの屋根を突き抜けてしまうと解っているためか、膝を折り、身を屈めた姿になった



≪……久しぶりだなナマエ≫

「やっぱりアンタかオプティマス!二ヶ月…半ぶりか?」

≪正確に言うならば、二ヶ月と14日ぶりになる≫

「相変わらずだな、アンタも。どうだい?その後の調子は」

≪…まずまずと言ったところだ≫

「そっか!」

≪君の方は?≫

「いつも通りさ。大学に行って、休みは朝から晩までバイト三昧だ」

≪そうか≫



オプティマスが青色の輝く目を細める。あまり表情が解らないオプティマスの、"笑っている"と認識出来る数少ない行動の一つだ

深夜のGSを受け持っているのは幸いなことに俺一人しかいないし、客はさっきので最後だったから周りには誰もいない。
安心してオプティマスと話すことが出来る。もしかしたら、オプティマスもそれを狙ってこの夜遅い時間帯に訪れたのかもしれない



「………なんか、」

≪ん?≫

「色々、大変だったみたいだな。シカゴの方で…コッチは何ともなかったからさ」

≪……ああ、…≫



ディセプティコンと呼ばれる悪いトランスフォーマー達がシカゴの街を襲っている映像は一瞬だけTVで見ることがあった。それからは見ていない。戦いが終わった、と言うニュースは聞いたが、それだけだった
俺は何も知らない



「……?オプティマス」

≪何だ?≫

「右腕、どうした?怪我してんのか?」

≪…!何故、そう思うんだ?≫

「いや…何か、…違和感?うーん、分からん。聞き流してくれても良いぞ」

≪いや、事実だ。一度引き千切られてしまってな…≫

「引き千切られた!?」

≪だが、今はこの通りだ。問題はない≫

「そ…そうか?」

≪ああ  ――ところで、仕事を頼めるか?≫

「ん? おお!いいぜ、俺の奢りだ!」



オプティマスは頷いて、また元のトレーラーに戻った。高い位置にある給油ポイントを給油機に近付けてくる。
そこを開いて、コードを手に取る。



「ハイオクでいいのか?」

≪ああ  実を言えば、何でも構わない。気休めみたいなものだからな≫

「それ、俺の前で言うなよ。空しくなるだろ?」

≪すまない≫



ハイオクのチューブを手に取って、オプティマスのそこに差し込む。
メーターの数値が早いスピードで上がっていくのを見ながら、オプティマスの前に立つ。



「窓、拭いてやろうか?」

≪頼めるか?≫

「もちろん!」

≪気をつけてな≫

「おう」



新品の布巾を手に取り、取っ掛かりを利用してオプティマスのボンネットの上に上がる。
ファイアパターン、と言うかオプティマスの身体を汚したくなかったので
泥だらけの靴は脱いでおいた。



「お疲れさん、オプティマス」

≪ああ≫

「もう、戦わないで済むのか?」

≪…そうであれば良いと、願うが≫

「そうかー」




ゆっくり、丁寧にオプティマスの身体を労わるように、手を動かす。
ワイパーが左右に揺れた。可笑しい



「…俺はオプティマスが笑っててくれたら、何でも良いからな」

≪……私が、笑っている?≫

「ああ 俺の傍で、笑おうぜオプティマス 地球は、そういうことだって可能だからな」

≪…ああ…≫



オプティマスが嬉しそうに声を上げた。

何だ、案外、色々あって分かるものなんだな オプティマスの喜樂は