TF男主長編 | ナノ
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幸福をいつまでも待っている




私が何故ナマエを好きになってしまったことから始めよう


あの頃、私は未だディセプティコンの中でも比較的一般的な戦闘員だった。特筆した強さも能力もなく、指導者に見初められることもなく同僚であったブレークダウンと共に地べたを這いずり回る毎日を永い年月過ごしてきた


ある日のことだ。ディセプティコン軍に、新しい兵士が入ってきた。勿論そいつがナマエなわけない。新しく入ってきた私達の上官となるべくそいつは、非常に傲慢で己の保身だけを考える割には知力も強さもない、ある意味、その当時から優秀な航空参謀として活躍していたスタースクリームよりも性質の悪い奴だった。厄介な奴が上司になったものだな、とブレークダウンと愚痴っていたことが多かった


そして私がナマエと出会う運命の日だ
その日は物資を調達し運搬するだけのいつもの簡単な任務だった。オートボットの奴等に我々の姿が見つからなければ
見つかったのはあろうことかその上官だった。役立たずのその上官は私達にただ「戦え」と命令した。そんなことは言われなくとも分かっている
だがソイツは誰よりも先に尻尾を巻いて逃げていったのだ。これは敵わないと判断したのだろうが、その時誰もがその上官を追わなかった。上官の逃げた先には、オートボットの増援が隠れていると皆が知っていたから、だ


上官に気を取られ、オートボットからの攻撃を避けきれず、肩パーツを打ち抜かれ私は負傷した。エネルギー切れも近かった。アイセンサーが上手く作動しない。敵は私にトドメをさそうと近付く。急にその敵の身体がグラついた。地に倒れたオートボットの背後から現れたのは一人の見知らぬディセプティコン兵士だった。


≪無事か≫

≪…あ、ああ≫

≪俺のエネルギーを分ける。生きろ≫



それだけの、短いやり取りであった。そいつは私に身体からケーブルを取り出し、エネルギーを送ってくる。充分すぎるほどのエネルギーを送られ、意識が戻ってきた私に背を向けてソイツは走って行った。クソッたれの上官が逃げていった方向に、だ



≪ま、待て!何処に行こうとしてる?≫

≪…?当たり前のことを訊くな≫

≪……まさか、あのクソッたれの上官の方に、か?≫

≪そうだ。あっちには未だオートボットの敵がいる。安全ではない。助けに行く≫

≪ま…!≫



私の制止の声も聞かずにそいつ、―――ナマエは、トランスフォームし去って行った
後になって知ったナマエの名前
クソッたれの上官を救ってナマエが大怪我をして帰還してきたのは奴の名前を知った直後だった



リペア台に横たわるナマエに近付く。気がついたようで薄っすらとアイセンサーをクリアにする



≪……お前は、あの時の≫

≪ノックアウトだ。ナマエ≫

≪…ノックアウト、≫

≪お前に助けられた。礼を言うよ≫

≪構わない≫

≪だが、あのクソッたれを助けたのは腑に落ちない。お前が命がけで救ってきた意味も、ついさっきなくなったしな≫


あのクソッたれの上官はメガトロン様とスタースクリームさん、他参謀から役立たずと見なされ、捕まえてきたオートボットの捕虜数人と共にスクラップにされたのだ



≪…いいんだ≫

≪…何がだ?≫

≪あの人は、あの時はあくまでも俺の上官だったからな≫

≪……≫

≪上の者に付き従う下の奴は、何であろうとその方を助けねばな≫



なんて馬鹿で、愚かな奴だろうと、呆れた
ただそれと同時に、どうしようもなくスパークを鷲掴みにされたのもまた事実

お前は、今も昔も上の奴を立てる奴だよ、ナマエ




だが、あれから私はナマエを愛し、いつまたナマエが愚かな真似をして負傷しても、
自分がリペアしてやれるようにリペアのスペックを習得したのも本当の話

こんなにお前に尽くしてるのは全宇宙でも私ぐらいのものだぞ?


だからそろそろ私をモノにしてくれればいいのに、
気紛れに機体を重ねるだけの関係じゃもう満足しないのに、
ナマエの心ごと、一つになれれば いいのに、