ナマエは誰の目から見ても解りやすいほどにスタースクリームを愛していました
ニューリーダー宣言をして軍を掻き乱すと言ってしまえば迷惑極まりない話かもしれませんが、そんなところでさえもナマエにとっては愛らしいポイントの一つでした。逆に彼は真顔でこう訊くでしょう「何故あれを可愛いと思わないんだ?」一先ず、彼の危機にスパークを放り出して助け出してやりたいぐらいには愛していました
≪おうおうスタースクリーム 大丈夫か?≫
≪…お前っ、…阿呆なのか?≫
右半分の頭部は吹き飛びましたが幸いにブレインサーキット自体に影響は出ていませんでしたので阿呆にはなっていません。ただ、スタースクリームが、サイバトロン軍団の司令官が放った銃弾に被弾しそうになり、それを庇った行動自体を阿呆と呼ぶのなら、これは愛だと訂正してやりたいのですが、残念ながらスタースクリームはナマエの話をあまり聞いてくれません。なのでナマエは言いかけた口を閉じました。スタースクリームは眉間に皺を寄せます
≪…なんだ、何を言いかけた≫
≪……いや、何だろうな?≫
≪………≫
≪…む、≫
これは意外です。スタースクリームが、ナマエの機体を持ち上げます。まさか助けてくれるのでしょうか?
≪連れ帰ってくれるのか?≫
≪…此処に残して帰ってもいいんだぜ?≫
≪そうなったら、アイツを頼ってサイバトロン軍に寝返らせて貰うかな≫
≪……≫
アイツとは、噂のサイバトロンのことでしょうか
スタースクリームの顔が分かりやすく歪みます
≪…俺の前で、堂々の反逆宣言だな?≫
≪お前さんがそれを言うのかい?≫
≪黙れ!!落とすぞ!≫
≪それは困る≫
口ではそう言っても、スタースクリームがナマエを落とさないことは明白です。ですがこれ以上口を開いても得は無さそうなので大人しくスタースクリームの腕に抱かれ空中遊泳と行きましょう
≪…どうやら、今回もやはり負け戦のようだな≫
眼下に居たメガトロン達が撤退命令を出しているのを見ます。スタースクリームも撤退の通信が入ったので、ナマエを抱えたまま逃走している仲間の中に追いつきます
ナマエを抱えているスタースクリームを見て、スカイワープがニヤニヤと笑いかけてきました
≪お?なんだなんだ?≫
≪うるせぇ何でもねぇよ!≫
≪ナマエ、負傷したのか?≫
≪サンダークラッカー、悪いんだが後でブレイン診てくれるか?≫
≪俺で良ければだが……痛そうだな≫
≪そうでもないぜ?それに今は快適だ≫
≪!!≫
スタースクリームに、とうとう腕を放されてしまいました。
重力に従って、ナマエの身体が下に落ちていきます。
≪おいおいおいおい…!≫と声を上げながらサンダークラッカーが拾ってくれました。サンダークラッカーにお礼を言う前に、サンダークラッカーがスタースクリームを叱り付けました
≪どういうつもりだスタースクリーム!ナマエにトドメを刺すつもりだったのか≫
≪フン!そんな奴、テメェにくれてやる!!≫
≪いるか!お前に返す!≫
≪ならスカイワープにでもやれ!≫
≪は!?俺もいるわけねぇだろうが!≫
≪人を物扱いして全く…≫
≪サンダークラッカーに姫抱っこされてる時点で今のお前にオーラはねぇよ≫
水色の彼は困った顔して「やれやれ」と首を振ります
紫色の彼は面白そうに前方と後方を窺います
およそデストロンに似つかわしい色をした彼は、ナマエを見て不機嫌になるばかりでした