*「私の大切なフェラーリ」設定
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最近のディーノは忙しそうだ。 まあそりゃあ、彼もこんな人生の余生を楽しんでいる老人に呑気に言われたくはないかもしれないが、休日ともなってしまえば時間を持て余してしまい、暇でしょうがないのだよディーノ 分かってくれないか?
≪…で、その為にテメェは、オレを呼んだと…≫
「いやはや、こんなに早く駆けつけてくれるとはね」
≪"腰を折って立てないから直ぐに来てくれ"なんて性質の悪い嘘で連絡してくんじゃねぇよ!!≫
ブォン! 本人の怒気に比例してエンジン音を強めた真っ赤なフェラーリは全身で怒っているようだ。いや、怒っているのだろう。少し、からかいが過ぎたかもしれない。 ナマエ個人の"特権"をフルに活用して、軍事基地でオートボットの司令官殿からの任務を受けていたディーノを呼び出してしまったのだから、そりゃあ怒らせてしまうのも当然だ 勿論、こんな結果を想定出来なかったわけではないんだが、きっとこの素直でない恋人のことだから 『オレに連絡する前に救急車呼べ』とか『オレにどうしろってんだよ』なり言って来てくれないかもな、と予想していた方が大きくて
≪…言いてぇことはそれだけか、ナマエ≫
「うーん、申し訳なかったねディーノ」
≪テ、メェ、は…!≫
「すまない、許してくれたまえ ちょっとした出来心だったんだ」
≪その出来心、自重しろ!いい迷惑だ!≫
そう言うと真っ赤なフェラーリはトランスフォームして、案の定不機嫌な表情のディーノの顔が露わになる
いやはや、いやはや
≪……それで、何がしてぇんだよ≫
「―――え?」
≪"え?"じゃねーよ もう折角ここまで帰って来たんだ。このままトンボ帰りなんてつまんねぇ どっか行こうぜ≫
「おや…許してくれるのかな?私のお茶目を」
≪自分で言うんなら許さねぇからな……! ドライブしよう 久しぶりに遠くに行ってみたい気分なんだ≫
「なるほど……ディーノも実はこうなることを期待してたのかい?」
≪…ちょ!…ちょ、っとだけな!!≫
「そうかいそうかい」
ふふふ、案外似た者同士であるよな、我々は
笑って伝えれば、ディーノはやはり少し顔を不機嫌にして、尖った指先でチョイと私の頭を小突いた