「ジャズ〜!」
≪ナマエー!≫
小さな人間と、小さなオートボットの1人と1体は
NEST基地の中で、あらん限りの声を出し合いながらお互いをヒシと抱きしめた(ジャズが飛びついてきたナマエを抱きとめたとも言う)
デレデレ顔になった我が軍の将校を副官が諌める
≪こらジャズ。仕事中だぞ≫
≪良いじゃないかアイアンハイド。子どもの可愛さはアンタだってよく知ってるだろ?≫
≪む……≫
アナベルのことを思い出したアイアンハイドはそれ以上ジャズを追求することなく立ち去った。
屈強な男達や背の高いオートボット達が行動するNEST基地内で小柄な二人は
他の者たちの邪魔にならぬように外に出た。
滑走路から一歩外れた日陰に入る
≪今日はどうしたんだーナマエ?≫
「おとうさんにねっ、わすれもの届けにきたんだっ」
≪そうかー!ナマエは良い子だな〜≫
「えへへぇ」
ナマエの父親は軍の管制塔で勤務しているから、
全く検討違いの場所にナマエは来てしまったのだが、ジャズはそれを全く責めないでいた。寧ろ来てくれてありがたいとさえ思っている
≪怖くておっかなーいメアリングおばさんには会わなかったかー?≫
「うん!あのね、ぼくね、ちっちゃいでしょ?だからラチェットさんとか、サイドスワイプさんとかのかげに隠れて走ってきたんだよ!」
≪ナマエはきっとすっげぇ良い戦士になれるな!≫
「そう〜?でもジャズはちいさいけど、すっごくかっこいい戦士だもんね!」
≪言ってくれんじゃねぇかナマエ!こいつ〜!≫
ナマエを高い高いしながらクルクルと楽しそうに回ってはしゃぐ二人を見て溜息を吐いているのはレノックスとオプティマスだった
「……ナマエの父親には、俺から言っておこう。子どもを使いに走らせんな、とな」
≪是非そうしてくれ。最近、将校としての威厳が無いように思えるのだ…≫
「分かった。 ―― ジャズ!それぐらいにしておけ!マダムに見つかったらどやされるのはナマエなんだぞ!」
ナマエを我が手に抱いたままジャズが不苦そうに近寄ってくる
≪レノックスはアクマだな。俺とナマエを引き離そうったってそうは行かねぇぜ≫
「本物の父親の所に返して来い」
≪俺はナマエの父親じゃなくて、兄貴になりたいんだよ!≫
「どっちでも一緒だ」
「ジャズをいじめないでよレノックスさん!」
≪!≫
小さな腕でジャズの顔に抱きつき、レノックスを威嚇するようにして睨むナマエに
レノックスは苦笑する。ジャズは前が見えない!とナマエの手を除けようとしている
≪…しょうがねぇな、帰るかナマエ≫
「えー…」
≪また遊びに来いよ。っつか俺が迎えに行ってやるぜ≫
「やったぁ!ほんと?」
≪ああ 男同士の約束だぜ≫
「やくそくー!」
小さなちいさなナマエの小指と、鉤爪の形になっているジャズの指を器用に絡ませて約束を交し合った