TF男主ログ | ナノ
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ブラー(RID)


そろそろ棄てようかなと思ってる。次にスクラップ場が稼動する日はいつだったろうか。
調べようとして壁掛けパネルに手をやったところでソレが目を覚ました。


≪…メタルホークざぁんンん……≫


いや違った。いつもの、ただの寝言だ。


ブラーが始めたバーに連日のようにやって来ては、浸るくらいにエネルゴンを飲み、エネルギーの過剰摂取でショートしてテーブルに突っ伏してそのまま3日ほどぶっ通して眠るなんとも迷惑な客の名前はナマエ
そんな駄目な彼は一応『NAILs』所属のトランスフォーマーであり、メタルホークと共に戦争の終結したセイバートロン星へ戻って来た内の一人だ。

"これまであちこちを転々としていた逃亡生活の連続で満足にエネルゴンを摂取することが出来なかった理由による反動だろう、彼が飲んだくれになってしまったのは。"

メタルホークは同輩の無様な様子にも苦言を呈することはなく、それどころかブラーに≪どうか怒らないでやってくれ≫と頼んできた。なのでブラーもこの扱いにほとほと困っている。
お陰様で盛況中であるバーのテーブルを一つ占拠されることが痛手になることはないが、いい加減視界センサーに入って来られてはいくらブラーと言えど煩わしさを覚えてしまう。なので棄てようかなと思っている。きっとメタルホークも許してくれるに違いない。


≪ナマエ、ナマエ ナマエ そろそろ起きてよ店仕舞いするんだもう2日も寝っ放しだよあんたここのテーブルと同化する気なのかい困るよそれは困る≫

今回はエネルゴンキューブを手に抱えたままスリープモードに入っている。多量に摂取したエネルギーもこれで帳消しになってるかもしれない。

角ばった肩を揺り動かしてようやく、ナマエは≪……あぁブラーかあ≫と呑気に目を覚ました。おそようございます、さあさっさと出てってくれ。あんたの愛しのメタルホークはバンブルビー達と忙しそうにしているんだぞ。


≪うーーん……メタルホークさんがかぁ…?≫
≪そうだよあんたも早く合流した方がいいんじゃない?≫
≪うーーん……でもぶっちゃけオレがいてもいなくても、メタルホークさんは頼もしい人だから…なんつったってオレらのリーダー様さまサマさま……≫
≪ああーもうまたうつ伏せになろうとしてるだろやめてやめて起きて起きろ≫


テーブルから引き剥がそうと腰を掴んでみたが、ガッチリしたタイプの中型トランスフォーマーであるナマエの腰を自分の腕は一周することは出来ず、不恰好に抱きついているような体勢になってしまった。

未だ尚寝惚けたままのナマエは引っ付いているブラーの腕をスリスリと撫でながら、
≪いやぁここの店は居心地が良くてたまらんのさ。前に火星で酔った店なんて最悪だったんだなんせ店員が醜い顔の宇宙人で出してくる料理も鉄屑に色がついたようなゲテモノばかりで…≫
NAILsの放浪記に興味はあるが今は聞いている場合ではない。

≪もう!いいから早く帰った帰った帰っ≫



≪やあブラー 今やってるかな?≫
≪またジャズと一緒に歌いに来てやったぜー…って……≫



≪…………うわああああああ!!!≫
≪…あーこれはこれはジャズ殿にスカイバイトさん。これから店仕舞いなようですよー≫

≪……ブラー、どうもお邪魔をしてしまったようで申し訳ないよ≫
≪い、いや!ち、ちがっこれは!≫
≪タイミング悪かったな!ではな!!≫
≪うむ、失礼しよう!≫
≪ちょっ、≫


酷すぎる。なんて酷すぎるタイミングで来店してくれたんだあの二人は。
どうしてくれるんだこの微妙な空気を!


≪ブラー エネルゴンスティック出してくれないかー≫

≪出すわけないだろ!!帰れ!!ああああもうメタルホーク?メタルホークに通信!通信!至急!こいつ!連れて帰って!!≫