TF男主ログ | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
美しいものが美しくあることは



君が美しかったのは、きっと彼に恋していたからだ。
君が輝かしかったのは、きっと彼を愛していたからだ
それは今も変わりはしない。つまり君はまだ彼を愛しているということだ



「…後悔してるんだろ?」

「してないわ」

「サム、新しい彼女出来たってさ」

「知ってるわ」

「………俺にしない?」

「お断りよ、ナマエ」



いつもの調子で軽く拒絶するミカエラは、やはりどこか落ち込んでいる
それがどんな感情の種類のものから来るのかなんて第三者の俺には分からないが



「…俺は君が好きだよ」

「気付いてた」

「サムより君を大切にするよ?」

「………ごめんなさい、ナマエ」

「………謝るんだな、君も」

「当たり前よ」



俺との話をそこで終えたミカエラはヘルメットを手にとって、愛用のバイクに跨った。
スタイルの良い美しい彼女は、バイクに乗る姿さえモデルのようだ
彼女の一挙一動を見逃すまいと、目を凝らす。
ミカエラは擽ったそうに笑った



「…あんまり、見つめないでくれる?」

「ああ、ごめん…あんまり綺麗だったから」

「……ナマエ」

「ん?」


「私より、良い女の人探してね」




アクセルを踏み込んで、ミカエラの乗ったバイクは人波の向こうに消えて行った




「……ミカエラより、良い女、か」





そんな人間、果たしているのだろうか。見つかるんだろうか
俺にはとてもそうは思わない。彼女ほど美しく気高い人間がいるのかなんて、





彼女は最後の時まで ずっと美しかった