≪あ≫
道をトボトボと歩いている後姿に見覚えがあった。毎回毎回、何らかの形で俺たちの戦いに巻き込まれ、不憫な目にあっている人間の女だ。今回も戦闘に巻き込まれでもしたのか、衣服はボロボロになっていた。髪もボサボサだ。落ちている肩も不憫なほどに汚れている
≪…≫
流石に可哀想になった俺は、その女に近付く。最初からビークルモードだと怪しい車だと思われるかもしれないから、ロボットモードで話しかける
≪そこの人≫
「きゃあっ!?なになにっ」
すっかりロボットを見ると怯えるこの人が本当に哀れだった
≪いつもいつも、戦いに巻き込んでしまってすみません。皆を代表して、謝ります≫
「あ、あら…アンタ結構いい人?いいの…もうこういうキャラって割り切ってるから」
≪しかし…見ていて不憫でならないんだ≫
「お気持ちだけで結構でーす…」
≪ならばせめて、自宅まで乗せて行かせてくれないか?せめてもの償いとして≫
女性はポカンとした顔で俺を見る
「…何でアンタそこまでしてくれるのよ」
≪だから言ってるだろう。貴方が、可哀想だから、だ≫
「……それならお言葉に甘えてー」
≪どうぞ≫
ビークルモードになって扉を開いてやる。
女性はイタタタ…と言いながら、肩を押さえて乗り込んだ。シートベルトを締めてやる
「アンタ、結構いい奴ね。あの青いのとか赤いのとかと違って」
≪まあ≫
「名前は?アタシ、ジュンコ」
≪ナマエだ。ジュンコさん?≫
分かったことがある。ジュンコさんはいい人だった。巻き込まれる不幸な人だったが、これからの戦闘で見かけたときは、なるべく助けてあげようと思った