《………言いたいことがあるなら、今の内にハッキリ言っとけよジョルト》
《じゃあ言う。抱いてよナマエ》
《…………そんなの聞きたくなかった》
仲間達の定期検査が長引いて長引いて俺は夜までお預けになって、人間単位で言うところの深夜一時を回った時点で漸く俺の番になった。
しかし、それまで全員の点検を担当していたラチェットが負傷して帰還してきたアイアンハイドのリペアに回され、それまで横でチョロチョロ助手として動いていたジョルトが俺の担当になった。
言われるままにオートボット用の鋼鉄の寝台に寝かされ、優しくしてくれよ、なんて軽口を叩いてジョルトの準備を待っていたら、急にジョルトが俺の上に覆い被さってきたのだ。
そして今現在の状況に至る
《退けジョルト。早く点検してくれないか、昨日から腰周りに違和感を感じるんだ》
《へぇ、僕が摩って治してあげよっか?》
《普通に治してくれないか》
ジョルトは皆の中でも小柄な体躯をしているが、ジープに変型する俺と比べても更に小さかった。俺の腹部までしか頭部が届かない。
そのジョルトも、いざ俺の身体に跨って、それを下から眺めてみれば普段の小ささはあまり感じ取れない。しかも何かアイセンサーが怪しげに光っている。スパークが一瞬震えた気がした
《いいから降りろジョルト。ふざけてるならラチェットに言いつけるぞ》
《ふざけてない。僕はいたって真面目だよ》
《尚更だろうが》
《だって、この時をずっと待ってたんだ。ナマエと二人きりになるこの瞬間を》
ジョルトのが俺の胸部に手を添えて顔を近づけてくる。
間近に迫ってきたそれに、慌てて顔を背けようとするが、ジョルトがそれを許さなかった。
がっしりと両手で固定され、ジョルトから目を離せなくなる。
《抱いてってばナマエ》
《だからな、今はそんな場合じゃ》
《ずっとずっとナマエのこと考えてしまう。何かをしてる時にもブレインにナマエの事が過ぎる。ナマエのことを考えるだけでスパークが壊れてしまいそうなくらいに震える》
《いや、あのなジョルト》
《ねぇ…ナマエは僕のこと、どう想ってるの?ちゃんと僕のこと、好き?》
《…俺は》
《ああ勿論もしも僕のことを嫌いだなんて言おうものならこのままナマエのチップ抜いて意識混濁状態にさせて催眠にかけて僕のこと好きって言わせるから》
《何だと!?》
ジョルトのアイセンサーはマジだ
嬉々としてアイアンハイドのリペアをするラチェットと同じ目をしている。技は受け継がれてきているのか、それがまさかこんな形で俺に災難として降りかかろうとは
真剣な表情で俺の返事を待っているのかジョルト
ちょっと待て、お前だんだん俺に近付いてきてないか?
《、!?ま、待てジョッ…!》
重なってしまった
何がって、俺とジョルトの口同士が
離そうと思ってジョルトの頬に手を置いたら、逆にジョルトを引き寄せてしまったらしい。交わりは一層深くなってしまった
《んっ…、ふっ、んぅ…》
ジョルトが夢中になって俺に口付けを重ねてくる。
離そうと思っていた手は、いつの間にか添えているだけになってしまった
身体のパーツの金属が触れて鈍い音を部屋に響かせる。
それでもジョルトの抜けるような甘ったるい声はよく俺の聴覚センサーに聞こえてきていた。
ジョルトの甘い声に、煽られた訳では断じてない。決して違う。が
《…知らないぞ、ジョルト?》
《ふふっ…いいよ。…キてよ、ナマエ。貴方のパーツが何処かイかれちゃったら、僕がキチンと治してあげるから》
《………ジョルト》
《…ナマエ、大好き》
《ああ》
今度は俺から近付いてジョルトにキスしてやった
その後、リペアルームで事に及んだ俺達は、戻ってきたラチェット達に危うく現場を見られるところだったのだが、
気配を感じ取った俺がジョルト(騎乗位の体勢中)を放して事なきを得たが、その後機嫌を損ねたジョルトの機嫌取りに奮闘したのを見てツインズやジャズ達にからかわれたのは言うまでもなかった