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「#幼馴染」のBL小説を読む
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苦しみがわたしに同化する




どうも、我が軍の 名目:軍医なノックアウトさんに
近年稀に見る重厚な拘束具でリペア台に押し付け寝かされているディセプティコン一般兵のナマエです


エネルギー採掘所にワープと言う俺のような一般兵から見たらチート極まりない移動手段でドカドカと乗り込んできたオートボット達とドンパチしてました。
一応ヴィーコン達を率いて現場を指揮していた俺だったので逃げるより挑む方を取ってアーシーにコテンパン(言い方は軽いが要するにフルボッコ)にされたので
意識が朦朧としていたところ、生き延びていた数人のヴィーコン達に担ぎ上げられながらネメシスに帰還し、帰還の報を待っていたノックアウトに見つかり突風のように巻き上げられながら気付けばリペア台なう


俺の大怪我を、涙ながらに「大丈夫かナマエ!」とか「死なせない、死なせるものか」とか言いながら俺の手を握って素直になってればまだ俺もジーンとスパークに来るものがあったかもしれないのにこのノックアウトと来たらさっきから




≪首元のケーブル剥きだし一部切除、左手首から先破損、体内のオイル潤滑経路の具合最悪、ああそれに右足は半分どこへやったんだ?なに、置いてきた?まったくしょうがないな後でヴィーコンに拾わせてこよう。スペアパーツは前に航空参謀殿に使ってしまってもうないんだ≫




うるさい



ガンガン聴覚センサーに高飛車な音程でツラツラと容態を述べてくださっているノックアウトさん超うるさい
もうちょっとで意識シャットダウンしそうなのに、こいつの煩さのせいでダウン出来ない。まさかこれを狙ってくれているんだったら良いけど絶対それはない。それならこんな風に嫌味ったらしく言わないでもいいじゃないか




≪ナマエ、聞いているのか。折角私が診察してやっているのに≫

≪…もういっそ楽にしてくれ…≫

≪それは出来ない相談だ。人員削減は許可されてないからな≫



もっとも、俺は手足胴体共々拘束具で固定されているからノックアウトの姿は見えない
見えるのはアイセンサーに直撃する眩しいライトだけ
俺の見えないところで何やら物音が絶えず聞こえるのが気になる



≪ノックアウト、さっきから、何をやってるんだ?≫

≪何のことだ?≫

≪何かガチャガチャしてるんじゃないのか?≫

≪ああ、今機材周りを整理していた≫

≪…俺の治療はどうした……≫

≪まぁそうがっつくなナマエ≫



まったく、本当にノックアウトはノックアウトだなクソ
あ?何か、意識がダウンしてきたぞ。おい、これヤバクないか?あれ、でもダウンってーよりかは…



≪……ねむ……ぃ……、…≫


≪………ナマエ?≫



俺を呼ぶノックアウトの声が聞こえて、俺は意識をシャットダウンしたのだ















≪……ようやく眠ったか≫




手に持っていた強制的に意識をオトすワクチンをそっと仕舞う。ナマエに気付かれないように打ち、リペアの準備を悟られないようにするのは些か骨が折れた
本当にナマエの意識が落ちたかどうかを確認すると、ノックアウトは迅速に行動を開始した
用意していた溶接器具その他諸々を手に取り、ナマエの怪我部分、中でも損傷の酷かった胴体周りに手を付けた


連絡していたヴィーコンからナマエの取れた右足の回収が完了したとの連絡が入ったから至急持ってくるように即座に返答する
ナマエを見る目は真剣で、さっきまでの嫌味ったらしくナマエを見下ろしていたソレではなかった

ナマエは気付いてない、いや絶対に分かっているはずがない、バカなナマエは己の容態が危険であることなんて知ってやしないのだろう
ノックアウトが何百年ぶりに本気を出す程度には、危険だ



≪…ナマエ…っ≫



リペアの合間にナマエの顔に自分の顔を近づけ、意識のないナマエの口に自分のを触れる程度に落とし、サッと体勢を元に戻す。今は閉じているアイセンサーの奥のナマエのクリアな赤い目を思い出す




≪死なせない、≫



無意識下で呟かれたノックアウトの言葉は、不安そうに、だがどこか自信を見せるように



≪私がナマエを 死なせるものか≫



アイセンサーに滲んだウオッシャー液を無いことにした


















(………ん、…? ここは……)
( ようやく起きたかナマエ 気分はどうかな?)
(ノック……アウト?)
(ああ、ノックアウトだ。ナマエの危機的状況を救う為に奮闘していたノックアウト様だ)
(…ノックアウト、泣いてないか?)
(っな、泣いてなんぞいない。これは久しぶりにいい労働した時に流れる汗だ)
(アイセンサーからか)
(アイセンサーからだ)
(…………)
(……何か文句でもあるのか?)