ここ最近、クロミアの姿が見えなくなった。俺の憶測だが、アイツは多分マスターメガトロンの許に駆け込んで行ったのだろう。≪アイツの統率には呆れちゃうわ≫と愚痴を零していたのをたまたま耳にした。あの時から、なら早くとっととどっかに行け、と念じていたお陰か
邪魔で目障りな女は居なくなったが、代わりのように別の男が俺の前に現れた
ぶっちゃけ、俺に絡んでくる分あの女より煩わしかった
≪おっ、ナマエじゃねーか≫
≪……ノイズメイズ、お前の持ち場はここじゃない。ただでさえ3人で切り盛りしてるんだから担当場所を離れるなよ≫
≪スタースクリームさんみたいにプリプリ怒るなよ〜≫
≪馴れ馴れしいなお前。プリプリとか言うな≫
こいつの持ち場は操縦室だ。俺の持ち場は武器庫と格納庫兼任
人数が少ないからしょうがないし、スタースクリーム様のために繋がるのならこんなの苦でもなんでもない
≪甲斐甲斐しいねぇ やっぱり片恋慕は辛いだろ?≫
≪煩い。アンタに何が分かる 知った風な口を利くな≫
睨みつけても目の前のコイツはへらへらと笑ってるだけだ
あの女とは、また違った意味で舐められているような気がする
持っていたコンテナを思い切りノイズメイズ向けて投げつける
瞬間移動で簡単に避けられてしまった。対象を失ったコンテナはそのまま力に沿って船の側面にぶち当たった。船自体が振動した
≪あっぶねぇな!≫
≪煩い!当たらないお前が悪いんだ!!≫
≪いや、避けるだろ普通は!!≫
――ナマエ、何の騒ぎだ
≪ス、スタースクリーム様!?≫
ブレインに入ってきた通信は、ご立腹状態のスタースクリーム様からだ
振動があちらにまで届いたのだろう。言い訳をしようにも、生憎スタースクリーム様にそんなこと出来る程、器は大きくない
ノイズメイズを見ればニヤニヤ笑って、頑張れよ!と言って姿を消した。アイツ!!
――聞いているのかナマエ
≪ハッ!申し訳ありません、スタースクリーム様 問題はありません≫
――報告は、直接私にしろ。直ぐに来い
≪ハッ…≫
ああ、怒られてしまう
ノイズメイズの言葉にカチンと来たから投げました
そんなありのままの真実を話せるはずも無く、あーだのうーだのと茶を濁していたら深まるスタースクリーム様の眉間の皺
≪要するに何なんだ≫
≪…ノイズメイズと諍いを起こしまして、それで…≫
≪………ノイズメイズと?≫
≪は……≫
プライマスの力で巨大化されたスタースクリーム様の大きな手が手摺を強く握り潰している音がする。怒らせたのか!?どうしてだ!
≪……ナマエ、貴様に1つ言っておく≫
≪はい 何なりとどうぞ≫
≪あまり、あいつと馴れ合うな≫
≪……≫
≪返事はどうした?ナマエ≫
≪ …―あ、はい スタースクリーム様…≫
え、と それは一体どういう意味だろう
ノイズメイズとは勿論俺だって関わり合いになりたくはないが、それでもこの船を操縦している手前付き合わないわけにはいかないのだが……
しかしそれをスタースクリーム様に提言出来るほどの勇気は、相変わらず俺は持ち合わせていなかった