俺は、どこにでも居るような只の一般兵で、
突出して何かの力に抜きん出ているような、そんなトランスフォーマーではなかった
ただ、そんな俺が何故宇宙船に搭乗し、素晴らしい力や才能や技を持ったサイバトロンメンバー達とこうして地球探査の任務についているのかと言うと、まさしくただの偶然だった
俺自身はこの任務が名誉あるソレだとは思えない
ただ普通に、セイバートロン星に残り、惑星を護る任務のままでいても良かった
だってどうせ俺は只の力ない一般兵だから
≪ナマエ!またお前はそんな所で大人しくして!サイバトロン戦士なら戦士らしくデストロンに立ち向かえ!≫
≪む、無理だってクリフ 俺のガンじゃ奴等のボディに掠り傷1つ付けられやしない!≫
≪んなのやってみなけりゃ分かんねぇだろうが!当てたことあんのかよ!≫
≪ないけど…≫
≪じゃあ傷つくかもしれないじゃないか!もしかしたら、でっけぇ穴が穿てるかもだぜ!≫
≪それはない!≫
腰までしかないミニボットのクリフの性格には参る
どうやって俺を察知してるのかレーダーでもあるのか、
いつも戦闘の途中で、他の味方の邪魔にならないようにコソコソと隠れている俺を引っ張っては戦地に連れて行く妙な奴だ
本当に勘弁してほしいのだ。クリフみたいな性格だったら、俺のような陰気で弱虫な奴、人一倍嫌がりそうだと思うんだけど…
≪ああ!お前に構ってたら戦闘終わってる!≫
≪…だったら最初っから俺の事は気にせず…≫
≪何言ってんだ!お前が最初っから戦いに参加してればいいんだろ!俺を悪者にするな≫
≪……ご尤もで≫
正論なだけに耳が痛い。もういっそのこと、わざとスタースクリームやメガトロンの攻撃を受けて吹っ飛んで消えてしまおうか。そうすればクリフの手間もかからない
≪お前はバカか!!!≫
≪いだっ!?≫
思い切り頭を叩かれた。痛すぎる。ブレインが揺れたような気がする
≪何トチ狂ったこと言ってるんだ!そんなことしてみろ、俺がタダじゃおかねぇからな!≫
≪……≫
心、読まれた。クリフに
プンスカ怒りながらクリフは足取り荒く基地へと戻っていく
しょうがないのでその後ろを付いて歩く
無言だ。だが怒気の量が半端じゃない
≪……えー…、悪かったクリフ≫
≪ふん!≫
≪次からは…戦闘に参加してみるからさ…≫
≪あったりまえだ!!≫
≪は、はい≫
振り返ったクリフの形相怖い。本当にミニボットなのかと疑いたくなるぐらい今のクリフはオーラ的にも大きい
≪お前が戦闘の時に敵にビビる必要はない!俺がしっかりお前をサポートしてやるからだ!≫
≪…………≫
≪分かったか!≫
≪…分かった≫
≪フン!≫
またクリフはのしのしと歩いていった
擦れ違ったハウンドに何だ?どうした?と訊かれたが、俺は
≪いや……俺にもさっぱり…≫
ただ、気のせいか?クリフがデレたような
いや、そんなわけないか