ちょうどいい俺たち
迷子体質主×方向音痴ランボル
≪ああ、ようやく見つけたナマエ≫
「ランボル!」
スパイクとサイバトロンの皆と冬の雪山捜索に同行したら案の定いつもの迷子
迷子なんてもう生まれた時からなっていたし、慣れっこだった。しかし土地勘はあるのだ。だが迷子になる。変な話だ。しかし、流石に冬の雪山となるとこれは迷子と言うより遭難だ。命の危険性が脅かされる音がした
偶然見つけた洞窟で寒さに震えながら何とか耐え忍んでいたら、雪を掻き分け一人の赤いサイバトロン――ランボルが肩や頭に雪を乗せながら現れた。俺を見つけにきてくれた
≪もう駄目かと思った≫
「それ、俺の台詞だぞ」
≪いや、俺の台詞でもある。このままナマエとも司令官とも出会えなかったらどうしようかと思った≫
つまりランボルもサンストリーカーと逸れて俺を探しつつ本人も迷子気味だったということか。ちょっとだけ格好悪いぜランボル
≪けど、これが役に立ったな≫
そう言ってランボルは肩のセンサーパーツを見せてくれた。この前ランボルがラチェットとホイルジャックに何か相談して付けてもらっていたものだ
「なんだ?それ」
≪名付けて、迷子っ子ナマエ発見センサーだ≫
「分かりやすい名前だな」
≪単純明快だろ?≫
ランボルと一緒に洞窟に座り、司令官に通信を送ってくれたランボルが≪後少しで俺達を迎えに来てくれるみたいだ。スパイクが心配してるぞ≫と言ったので後少しの辛抱だ
しかし寒い。如何せん寒い
風向きが変わってきてるのか、だんだん洞窟内にも雪が吹き込んでくるようになってきた
ランボルは大丈夫かもしれないけど、俺は一応生身の人間だからこのままじっとしていたら命の危険第二段が襲ってくるだろう
「ランボル、提案があるんだ」
≪なんだ?≫
「肌と肌で暖め合わないか」
≪…………え≫
「誤解するな。このままじゃ俺が死んじゃう」
≪あ、ああ、そっちか≫
どっちだ
座っているランボルの足に座って背中をベッタリと付けてランボルの腹に伸し掛かる。
内部の温度を上げてくれたお陰で俺もほんのり温かい
「あったけー」
≪良かったな≫
「って言うかどうしてランボルはあんな迷子っ子ナマエ発見センサーなんてもん作ったんだ?余分すぎね?」
≪ナマエが何時何処で迷子になっても良いようにな。因みに機能としては追跡・居場所特定、ナマエの体内に埋め込まれた発信機を何処までも追う≫
「待て、いつの間に俺の身体に細工した!?」
≪ラチェットがお前の寝ている隙にちょちょいと≫
「マジかー!」
でもこれで俺はいつどこで迷子になってもランボルが迎えに来てくれるというわけだな!ランボルもランボルで方向音痴だけど、俺の方向に一先ず来てくれたらランボルは一安心。そして俺も一安心
「俺達ニコイチだな」
≪そうだな。なくちゃならないな、ナマエ≫
「まったくだ」
お、外からスパイクの声が聞こえてきた。おーい、ここだぞー