≪ああムカつく!今日も今日とてムカつく!!≫
スタースクリームが肩を怒らしながらルームに入ってきた。無視を決め込もうと思ったが背中に圧迫感を感じたのでスルー出来なくなってしまった。それならばせめて目線は向けずに抵抗しようと思ったが顔の横、つまり肩にスタースクリームが顔を乗せて来たので無視不可能な距離まで接近された。今回も捕まった
≪…今日は、何をして、どんなことをされたんだ?≫
≪メガトロンの野郎が作った瞬間物質異空間転送装置をテストしようと思ったら誤射しちまってスカイワープを大気圏に飛ばしちまったから拳骨で大目玉だ。キャノピー地味に破損した。リペアしてくれナマエ≫
≪要するに今回もお前が悪いんだなスタースクリーム≫
≪ナマエ!テメェどっちの味方なんだよ!≫
≪もちろんスタースクリームの味方だ。だが、味方だからこそ、お前の身体を心配して進言してやっているんだろう?≫
≪…ふん≫
ドカッと隣にあった台に上り、破損しているキャノピーをリペアしろと催促する
必然的に背中を反らせ、胸部を押し出す体勢になっているスタースクリームの姿は色々と目に毒だったが、彼が"リペア"を望んでいることを思い出し、壁から機具を用意する
自分以外にスタースクリームの賛同者は現れない。それはつまり自分独りだけがスタースクリームの味方であり、理解者なのだ。特別な高揚感に襲われる。スタースクリームを独り独占しているこの状態が堪らなく心地好い
≪ちょっとチクッとするぞ≫
≪餓鬼じゃねぇぞ≫
≪一応先に言っておかないと後で文句を言われたら敵わないからな≫
≪……うぅっ!≫
破損している部分と新しいパーツを溶接する際に発した熱にスタースクリームが身を捩る。熱いらしい。悩ましげに寄せられた眉や引き締められた唇が扇情的で、誘われるままにスタースクリームに顔を近づけてしまう。途中で本人にせき止められたが
≪なっ、何近付いてきやがってんだナマエ!!≫
≪ああ… すまない。つい≫
≪リペアに集中しろ!≫
≪1回だけキスしてもいいか?≫
≪……………≫
≪………駄目か≫
≪…駄目とは、言ってない≫
≪じゃあ良いのか≫
≪…良いなんて言ってねぇ≫
≪まどろっこしいな。じゃあ、もうするからな≫
≪…フン ………んっ、≫
スタースクリームの返事は待たないことが得策だ。どうせ天邪鬼なことしか言わないから強引に推し進めた方がいい。そうすれば大概のことは許してくれる。勿論、
≪…俺だけだろ?スタースクリーム…≫
≪…?なに、が…っ≫
≪いや?≫
≪…意味わかん…≫
口付けている間だけは、とても静かになるスタースクリームの事は、
もちろん自分だけしか知らない。それでいい