TF男主ログ | ナノ
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小さくなっても君は君




基地に帰ったらニヤニヤ顔のブリッツウィングが手で小せぇトランスフォーマーを後生大事そうに抱えていた。だがなんか見たことあるそれ



≪わり、拾った≫

≪捨てて来い!!≫



惚けたことを言うな!拾っただと?そんなことしてる暇があるならエネルゴンでも集めて来い



≪え、でもこれナマエだぜ?≫

≪は?ナマエ!?≫



ブリッツウィングのブレインサーキットはとうとう使い物にならなくなってお陀仏したのか。ご愁傷さんだなオイ。しかし、やはりそのトランスフォーマーには見覚えがある。と言うかまんまナマエだった。ナマエの餓鬼がいたんならこうだろうな、を見事に体言しているそのちっこいトランスフォーマーは俺の顔見て泣き出した。何故だ!



≪あーあーあーあ、アストロトレインがおっかない顔してるからだろー?≫

≪お、俺は別に何も…!と言うか何故ナマエはこうなったんだ!10時間前は普通だったじゃねぇか≫

≪おーよしよしナマエ 泣き止めーほらーいないないばぁー顔が3つに変わっちゃうぞーメーン?≫

≪それはお前であってお前じゃないだろうが!あと、語尾の使いどころ間違ってんぞ!≫


アストロトレインのツッコミうっぜー、…あり?ナマエが泣き止んでた

ブリッツウィングのその言葉にアストロトレインが視線をナマエ(小)に戻すと目ん玉まん丸にさせてた。なんだ、今度は吃驚したのか、怯えてんのか、どっちなんだ



≪まーまー落ち着けよアストロトレイン。お前もナマエを抱いてみたらこのナマエの溢れんばかりの愛らしさが理解出来るって≫

≪だ、抱く!?≫

≪そっちじゃねーよ≫


ほーら、よ

!?


あろうことか、ブリッツウィングはナマエを投げて寄越した。≪うおおぉ!?≫慌ててナマエを受け止めると、面白かったのかナマエはカラカラ笑い出した。忙しない奴になったお前も、元のお前はもうちっとクールだったはずだ




≪…アストロトレイン、お前の抱き方居心地悪くてたまらんぞ≫

≪は、ナマエ!?≫

≪あ、因みに喋ると元のナマエだから≫

≪はー!?小さいナリしてて声は低い男の声とかそんな餓鬼気色悪すぎるだろうが!≫

≪アストロトレイン、お前俺がキモイって言いたいのか?≫

≪な……≫



言い返そうとナマエを見たら、背丈がいつもの6分の1くらいになっているナマエはアストロトレインの膝関節にも届いていない。なのに性格は元のまま
少しだけ、ミクロ以下の大きさでアストロトレインの中に妙な感情が芽生える



≪……いつものお前はアレだが、今のナマエは愛らしい気がしないでもねぇな≫

≪…は?≫

≪アストロトレインが稚児趣味に目覚めたぞー≫

≪違う!!≫



力強く否定したのはいいがその顔が真っ赤だったので説得力の欠片もない。もうナマエのことはアストロトレインに任せておこう、とブリッツウィングは戦闘機にトランスフォームして基地を出て行った

二人きりになってしまったところで、いよいよ今後の展開が想像出来ない。元よりアストロトレインのブレインではすでに処理しきれない事柄だった



≪お、おいナマエ…≫

≪アストロトレイン≫

≪なんだ≫

≪俺は眠い。だから寝る≫

≪何処でだよ≫

≪お前の腕の中しか選択肢がないので仕方が無い。譲歩してやろう≫

≪は?おいおい、ちょっと待っ………寝やがったぞコイツ≫



小さくなってしまったせいでブレインサーキットも回路系統の配線も縮んだのか、すぐに小休止に入らなければ活動を維持出来なくなってしまったようだ。スリープモードに入ってしまったナマエを抱きかかえて、アストロトレインはとりあえず何故ナマエがこうなってしまったのか、その理由を突き止める為、ナマエを起こさないように伸長に行動を開始した。向かう先は一番怪しい、あまり交流を持ちたくない情報参謀の許だった