≪サウンドウェーブ アンタ、悲鳴と泣き声が好きだなんて、無口な割には案外クレイジーなんだな≫
≪…………ナンノ用ダナマエ≫
≪司令官に頼まれて、コイツを返しに来たんだよ≫
ナマエの手にはカセットの状態に戻っていたバズソーだ
コンドルと共にサイバトロン基地の偵察に行っていた筈だが、コンドルしか戻ってこなかったのを見てその安否を心配していたところだった
サウンドウェーブはナマエの手からバズソーのカセットを受け取り、損傷がないか確認する。大掛かりなリペアが必要なほどではなかった
≪………優シク攻撃シタヨウダナ≫
≪ああ、でもそいつが見たサイバトロン基地の映像は全部デリートさせてもらったぜ。それと、さっきの情報はバズソーん中に入ってたデータを少し調べさせて貰ってた時に見つけたものだ≫
≪悪趣味、ダナ≫
≪お前達には負けるさ≫
単身、ナマエがデストロンの臨時基地にまで入ってこれたのは一概に彼の特殊能力である瞬間移動の力だった。行動出来る範囲は短いが、この力で神出鬼没に登場する彼の能力は厄介この上ない。疲れるから多用出来ないらしいが
≪じゃあな 俺は帰る≫
≪待テ≫
≪お礼でもしてくれるのか?≫
≪…コノママ貴様ヲ易々ト帰スワケニハイカナイ≫
≪無理するなって≫
笑うナマエの憎たらしい顔に怒りが湧き上がるが、
瞬間、目の前からナマエの姿が消えたことに驚いて 辺りを見渡す
≪!≫
≪よ≫
瞬間移動して、ナマエはサウンドウェーブの目の前にまで来た。なんて勿体無い力の使い方か、と呆れたがナマエはニッコリと笑ってサウンドウェーブの顎を掴んで引き寄せる
≪俺はアンタの声のが好きだけどな≫
≪…!≫
マスク越しにだが触れ合った唇に声も出せなくなった
じゃあな、そう言ってナマエは一瞬のウチにもう一度姿を消す。
恐らくデストロン基地を抜けるのが精一杯だろうから、まだ外にいるはずだ。追いかければ捕まえられないことはない。しかし
≪………≫
サウンドウェーブは行動しなかった。捕まえろ、との命令も受けてないし、バズソーの傷もリペアしなくてはならなかったし、データの復旧もしなければならなかったし、何より自分は情報参謀だから戦いや捕縛は他の奴等に任せておけばいい、と思い
サウンドウェーブはバズソーの身体を持ち上げてリペアルームに向かった
≪…………ナマエメ……≫
吐き出した声音はいつも通り、機械音だった
しかしこれはナマエが好きな 自分の声だった