昔、グランマが話してくれたジャパンの怖い話を思い出した。唐傘と呼ばれる竹で出来た素材の傘から一本の足が生え、ギョロリと動く一つ目が人間を見つけて襲い掛かってくる
グランマ、俺は、傘よりも恐ろしい存在にあったよ。遠い昔の話だがね
とりあえず、俺はどうして出会い頭にブラスターを向けられてるんだろう
「……どうしたんショッキー 腹でも減ったんか?食いしん坊さんめ」
≪違う。黙れ≫
「ほんならパーティクルブラスターを除けてくれねぇか」
今日はお供のドリラーは連れていない。トランスフォーマー達の中でもオプティマスと並ぶくらい大きなショックウェーブを見上げるのは大変だ。腰骨が痛い
「今日はご機嫌斜めだなぁショッキー 理由はなんでぇ?ドリラーに嫌われでもしたんかい?」
≪ソレだ≫
「んえ?」
≪どうしてドリラーは"ドリラー"で、私はショックウェーブでなく"ショッキー"なんだ≫
ゴリ、ああブラスターをゴリ押しされた。痛い。こりゃ撃たれるのも時間の問題か
しかしショックウェーブが言った意味の方が問題だ
「…ドリラーと、ショッキーについてか?」
≪そうだ≫
「…お前さんへの『ショッキー』ってのは、親愛感情の表れじゃないか。愛称って言うんだぜ。知ってるか?」
≪……親愛の愛称?理解出来ない≫
「嘘こけ。お前さんは頭いいから分かってんだろ?」
≪親愛感情から私のことを愛称などで呼ぶ貴様が理解出来んと言ってるんだ≫
ショックウェーブは、此処の人間達と折り合い上手く行っていない。エップスからはガチ嫌いされているし、レノックスからさえも敬遠されている節がある。
俺とて、最初、ショックウェーブのお目付け役になれ、と言われた時はナチュラルに殺害宣言を受けたのかと思ったほどだ
だが、ショックウェーブは、付き合ってみると存外面白い奴だった。確かに冷酷で残忍で効率だけを求めるところはあるが
「まぁまぁ、気にするなよショッキー」
≪気に掛かる≫
「…やめろ、とは言わねぇんかい?」
≪………理解は出来ないが、私に支障はないから止める理由がない≫
「そうかいそうかい。ならこれからも言わせて貰うよ、ショッキー」
≪…勝手にしろ≫
漸くブラスターから解放された
これはショックウェーブが機嫌を取り戻した証拠。一息つける
「ショッキー」
≪何だ≫
「そろそろさぁ、俺のことも『貴様』じゃななくて『ナマエ』って呼んではくれねぇもんかい」
≪貴様なんぞ、貴様で充分だろう≫
「いーや、相手を名前で呼ぶのも親愛の現われだ。呼ばれた方も嬉しいしねぇ」
≪…貴様もか≫
「勿論だ」
≪・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ナマエ、≫
「おうよ」
≪…これ以上貴様と居るのは時間の無駄だ!戻る!≫
「おう、じゃあまたなショッキー」
ショックウェーブの足取りが覚束無い。動揺してんのか?愛い奴だ