…そうだ、前向きに考えよう これは、『犬』だ。少し身体の大きな黒い犬だ
ちょっとメタリックな犬だ。目の赤い犬だ。しかもその目も鋭い犬だ
背中に翼と銃を背負った風変わりな犬だ。そうだ、コイツは犬だ
・・・・・・
・・・・
「犬じゃねぇえぞぉお!!」
≪ガウ!≫
「わぁおぉ!!」
必死に現実逃避をしていたが、これは犬じゃない
今日からこのNEST基地でお世話するディセプティコンの一人、確かドレッズのハチェットとか言う奴だ。事前資料参照
めっちゃ食いたそうな顔して見てくるぞ、こいつ。やめろ。俺を食ったって美味くなんてないぞ
≪ガウ≫
「…バウ」
≪…ガウ?≫
お、嘘だろ何だか通じたっぽい
≪……フン、人間め≫
「喋れたんかい!」
思わずつっこんでしまったのもしょうがない
獣の顔で流暢に言葉喋ってんだからそりゃ驚くだろ
ってか、じゃあさっきまでのガウバウ発言はなんだったんだ
「……とりあえず、自己紹介だ。今日からお前達ドレッズの面倒を看ることになった」
≪"ナマエ"≫
「…お、何で知ってる?」
≪事前資料、って奴で知った≫
フフン、と笑う目の前のこいつ。あれ、何かカッコいいぞ?コイツ
「…で、お前はハチェットな。他の奴等は?」
≪クランクケースはメガトロン様に呼ばれた。クロウバーはストライキ中だ≫
「マジかよ。素直に顔出して来たのはお前だけか。偉いな」
≪勘違いするな。どうせ抗ったって人間と関わってしまうのは避けられないのだから、最初から割り切って接しようと思っただけだ≫
意外だが、頭は他とは違って良いらしい
「お前、面白い奴だな」
≪……面白い?どういう意味だ。言われたことないぞ≫
「そのまんまの意味さ」
≪俺達は、何かの命を奪う行為を面白いと感じるが、それと一緒か≫
「違うな」
≪…ガウ≫
「…バウ」
とりあえず、退屈はしなさそうだ