「………」
≪・・・≫
「…おいおいグラインダー 言いたいことあるんなら言わなくちゃ分かんねぇよ?」
≪・・・≫
「………もうそろそろ時間なんだが」
≪・・・・≫
「……」
フゥと溜息を吐く。目の前に立つだんまり君を見上げるのもいい加減に首が疲れて来た。俺はこれから任務に出かけなければいけないと言うのに。グラインダーはさっきからずっとこの調子だ。イキナリ俺の目の前に立ち塞がったと思ったら無言で立ち竦んでいる
「………もう、行くぞ?」
例えグラインダーが俺の前に立ち塞がったとしても、別に進んでいけないわけではない。グラインダーが俺に何か伝えようとしているような気がして立ち止まっていたが、だんまりを続けるということはそうではなかったのだ。出発時刻が迫る。行かなくては
「グラ…」
≪待て≫
「お?」
≪………行く、のか?≫
「…お?」
漸くグラインダーが喋ったと思ったら、
は?行く?ああ、俺は行くよ?任務にな?
≪…………≫
「……グラインダー?どした?」
≪……行かないで、くれないか≫
「…お前、どうした?」
普段から冷静で無口で、兄弟機のブラックアウトよりも物静かで何考えてんのか分からん そんなグラインダーの世話係を任されてから一度たりとて聞いたこともないような台詞を発せられた。行かないでくれ、って、子供じゃねーんだからさ
「我侭言うなってグラインダー どうしたんだ?今日は。キャラ違うぞ」
≪……何となく、今日はナマエと離れ、がたい…≫
「…なるべく早く帰ってくるさ」
≪……本当か?≫
「ああ。 だからあんま、離れがたくなるような事言うなよ」
≪…………≫
小さく頷いたグラインダーが普段からは想像も出来ない程、小動物か何かのように感じられてしまい、可愛く見えた。どうなってるんだ今日のグラインダーは
「よし じゃあなグラインダー 俺がいなくても、他の奴等と上手くやっとけよ」
≪………!≫
「だぁっ!?なんだなんだ、何するんだ!いきなし掴むな!」
≪し、しかし…!ナマエがいなくても、とか言うから…!≫
「ほんと今日はどうしちゃったんだよグラインダー!」
結局、俺はヘリに擬態して追いかけてきそうな勢いだったグラインダーを宥め落ち着かせるのに時間を食い、長官に行きの乗り物ん中でこってり怒られた。同僚からは笑われ、冷やかされた 「嫁が行かないでくれ、っつったのか?」マジ黙れ!!