TF女主長編 | ナノ
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急かさないで、だってまだ


――バカバカしい



そう呟かれた彼の言葉に、ハッとさせられてしまいました
彼の様子を見ていて悟ってはおりました。ですが、やはり、そうですか

サイドスワイプに、私の姿は見えていないのですね


少し、期待をしてしまっていました

だって、ほら、世の中には沢山あるじゃないですか。
死んでしまい、幽霊となった主人公が愛する人に会いに行って、お互いの目に愛しい人の姿が映ってるお話が


そんな物語が、私の場合でも適用されるかと思っていたのです
そう、それも、サイドスワイプと会って感じたほんの数秒の話です



「……物語のようには、上手くいかないモノねぇ…」




ポツリと口にしてしまえば、より一層の寂しさを感じてしまいました

ただ、そこで私が諦めればよかったのです。
幽霊となってしまって、それでも一目彼の姿を見ることが出来たことを
神に感謝し、お迎えを甘んじて受け入れれば、それでこの話は終わったことでしょう



「……ずっとずっと 死んでも貴方を愛してますよ、あなた…」



でも、期待を抱かされてしまったのです。他でもない――サイドスワイプに




≪――ナマエ? ナマエ!…ナマエ……いるんじゃないのか?ナマエっ≫

「!!」



彼も何かに憑かれてしまったように、慌しく辺りを見渡し始めました
キョロキョロと、青い光をした目が虚空を見渡します



あぁ、ちがうわサイドスワイプ、
私は、あなたの足元よ