基地に帰還してきて最初に目についたのは、何故か仰向けになって床に転がっているダンガーとヘプターの姿だった
まさかサイバトロンの敵襲か!?と身構えたが、すぐに通路の向こうから 嫌にテンションの上がっているシャトラーが大声を出しつつ≪ドールーレーイーラーー!!≫駆け寄ってきたことの方に体が強張る
≪な、何事だシャトラーこれは≫
≪そんなことよりドルレイラーにお客さんだぜ!≫
≪? 客?≫
「こ、ここここここ、こんにちは!!」
≪………人間の女!? 何故ここに人間がいる!≫
広げられたシャトラーの手の中から現れたのは、人間の少女
顔色は真っ赤に染まっていて、脳波も異常なまでに興奮しているのがセンサーによって見て取れる
どういうつもりだ、とシャトラーを問い質せばそれはもう楽しそうな返答が返って来た
≪お前に会いに来たんだってよ!≫
≪なに…?俺に?≫
≪ほら!あとはテメェで話せ!≫
≪お、おい…!?≫
強引に手に渡された人間の女と俺を残し、シャトラーとグリジバーは脇に避けてすっかり見守る体勢だ。意味が、分からん
「あ、ああああの!ド、ドルレイラーさん!! …きゃああ本人目の前にして名前呼んじゃった呼んじゃった!」
≪…な、何の用だ人間 事と次第によっては、≫
「こ 告白をしに来たんです!」
≪こ くは く?≫
うおっ来た! 壁際のシャトラーが愉快気に声を上げる
告白とは何だ。一体俺は、見ず知らずの人間の女に何を打ち明けられる嵌めに?
「た、多分ドルレイラーさんは覚えてないかもしれませんけど、あの時の交通整理の日……あれから私の頭は、あ 貴方のことしか考えられないんです!!」
≪何だと……どう言う意味だ!≫
「す 好きなんです!!」
≪そうか好き…………………好き!?≫
おおおおい言ったぜあの人間マジで!! 落ち着けシャトラーうるさい
≪す、すすす好きとはなんだ人間!≫
「一目惚れなんです! あ、私はナマエって言います!せめて名前だけでも記憶してくださると嬉しいなって言うかえっと、」
≪待て、待て待て! おいグリジバー!これは一体どういう状況だ!!≫
≪いや、俺に言われてもよ…≫
でもその人間、ドルレイラーのことが忘れられなくてずっと俺らのこと付回してたんだってよ。その熱意は買ってやれって
ああ、そう言えばそんなことを ブラックコンボイが言っていたような、
「ドルレイラーさん、お返事ください!」
≪は!?≫
「あわよくば私をドルレイラーさんの かの、彼女にしてくださいお願いします!」
≪ひ、一先ず落ち着け!大声で娘が、はしたないぞ!≫
≪アンタって意外にそう言うタイプなのか≫
俺と人間の少女――名前はナマエと言ったか――の声は大きすぎたらしい
画面のモニターに様子を窺いにギガトロン様が通信を入れて来た
≪何の騒ぎだ≫≪ギ、ギガトロン様!こ、これは…≫≪…何故その女がそんなところにいるんだ。ドルレイラー、ちゃんと扱え。その者はサイバトロンを出し抜く為の人質であるぞ≫≪りょ、了解しました……… ?≫
・・・・・・・・。
沈黙が 重い どうしてこんな展開になったのだろうか
ブレインが処理落ちしてしまいそうだ
「ドルレイラーさん! お返事は!」
≪しっかり男らしく答えろよドルレイラー!≫
≪あまり騒ぎを長引かさないように、男らしくスパっと答えろドルレイラー≫
≪な、なんなのだお前らは!!≫