大事に大事に
サイドウェイズ+デモリッシャー
(夢主もウェイズもデモがお好き)
「どどどどうしようサイドウェイズ!」
≪お、落ち着け!デモリッシャーを探せ!アイツんとこに逃げこむんだ!≫
「う、うん!」
サイドウェイズとデモリッシャーと共に潜伏しているこの大陸内でNESTの隊員達の姿を発見した、とサウンドウェーブから報告があった。
最初にその通信を聞いたサイドウェイズは取り乱してすぐに逃走を図ろうと試みる。勿論、捕獲(もはや扱いが人質のそれではないが)していた人間のナマエも連れて
「ど、どうするのサイドウェイズ。デモリッシャーの居場所、聞いてるの?」
サイドウェイズに乗り込んで、きっちりシートベルトを締める。逃げるために形振り構わず走り抜けるサイドウェイズの運転に不安感を抱いているからだ
≪今通信があった。こっから南西の方角4kmんとこで潜伏してるらしい≫
「早くはやく!」
≪分かってらぁ!≫
ナマエはサイドウェイズとデモリッシャーの二人が好きだった。
最初に自分達の身に何かあった時のための人質として連れ去られた訳だが、
いつの間にかストックホルム症候群に罹ったような、それともただの慕情か親愛のようなものを心に抱いてしまったせいで
今では二人から離れることが惜しいとさえ思っている。だから同じ人間に追われても、彼等二人と共に逃げる道を選択していた。その自分の人生を今のところ悔いたことは無かった
「今回も、捕まっちゃったりしないよね?」
≪さぁな 寧ろ殺されるんじゃないか…?≫
「やだよそんなの!」
≪分かってるって! あっ、デモリッシャー!!≫
≪ナマエ、サイドウェイズ。コッチだ≫
大きすぎる身体を工場の影から見せ、此方へと手招きしている。
サイドウェイズはすぐにデモリッシャーの懐に潜りこんで、デモリッシャーもまた元の油圧ショベルカーの姿に擬態し隠れる。暫くはここでやり過ごさなければならなかった
≪二人とも、此処へ来る間に怪我なんぞしなかったか?≫
「うん、大丈夫」
≪平気だデモリッシャー≫
≪そうか≫
ナマエはそっとサイドウェイズから降りて、デモリッシャーとサイドウェイズの間にそっと納まる。
「……デモリッシャー」
≪どうした≫
「見つかって…殺されちゃったり、しないよね?」
≪…………≫
≪………ナマエ、お前だけは何があろうとも俺が護ろう。いつも俺の後ろに隠れているんだ≫
「そんな…!私だけなんて、それが一番嫌なのに!」
≪大丈夫だ。お前は人間だから、きっと奴等も見す見す殺しはしないだろうさ≫
≪で、デモリッシャー!俺も、オレも護ってくれよ!≫
≪ああ。 小さき者どもめ 小さくなって、俺に護られていれば良いんだ≫
サイドウェイズとナマエ達を元気付けるかのように、デモリッシャーはグン、とショベルを持ち上げて振り上げて見せた。
そのデモリッシャーの姿に二人は安堵の息を吐く。しかしすぐに考え直してデモリッシャーに詰め寄った
「わ、私達だって、デモリッシャーのこと護ってみせるからね!」
≪お、俺もだ!アンタだけに良い格好なんて見せねぇからな≫
≪わ、分かった!解ったから静かにしてろバカ共!≫
詰め寄った身体を小さな力を出したショベルによって元の位置に押し戻される。
このやり取りが心地よくて、笑った。
サイドウェイズがドアを開けたのでもう一度助手席に納まる。
永い夜が始まったが、それでも傍にある存在に安心感は拭えなかった