驚いて照れて笑う
※厄介だ。恋も〜 主
黒い大きな身体が目に飛び込んできたと思ったら、
次に色とりどりなカラフルな物が飛び込んできた。
驚いて目を見開くと、飛び込んできた――アイアンハイドとその手に握られたものの正体を認める
「…え?」
≪い、要らないならいい≫
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
アイアンハイドの手に持たれているものを慌てて受け取る。
それはアイアンハイドからしたら小さな、私からしたら大きな花束だった
店で作って貰わなければ、出来ないであろう立派な花束。
ご丁寧にセロハンを重ね、リボンをつけ、メッセージカードには『To. ナマエ』の文字が
「…これ、どうしたんですか?」
≪サラに作って貰ったんだ≫
「サラさんに!?」
お店じゃなかった!
レノックス大佐の奥さん、何て器用に作れるのかしら
「…どうして?私に花束なんて…」
≪いつも世話になっている礼をナマエにしたい、と言ったら、ウィルが『それなら俺の奥さんに花束でも作ってもらえ!』と言ったからな≫
「そ、そうですか…」
一瞬、アイアンハイドとサラさんが一緒にいる場面を想像して
胸にモヤっとした感情が生まれたが、
それをすぐに追い払う。だってアイアンハイドが私に花束をくれたのだ!
「わ、私の方こそいつもお世話になってるのに…」
≪いや、俺の方が、お前に世話をかけているはずだ≫
「私よ!」
≪俺だ≫
「私です!」
≪俺だ≫
「そこのバカップルー向こうに行ってやれー」
「すっ、すみません!」
≪おいウィル。誰がバカだ≫
「そこかよ…」
俺の奥さんのおかげもあるのに、とレノックス大佐はアイアンハイドを小突いた。
アイアンハイドもレノックスに突っかかっていたが、私はくれた花束を見て、より一層笑みを深くするしか出来なかった