俺が、今ここ、都立中央中学校に居るのはまったくの偶然だと言っておこう!
たまたま、パトロールの合間にこの近くのルートを通っただけで、
別に運よく午後の体育の授業中であるナマエちゃんの姿を見たくてわざわざ空き時間に立ち寄ったとか、決してそういうヤマシイ動機などではないからな!
「ナマエ〜!そっち行ったよー!」
「任せてー!」
どうやら今は男女混合でテニスの練習をしているようだ
学校の周りに立っている柵の外からでは校庭までは少し遠い
アイセンサーと聴覚センサーの鮮度をマックスに引き伸ばし、
ズームを多用しているから問題はないがな!
「ナマエ、あんたサーブ上手いね!」
「サーブだけー?」
「ボレーも秀逸!」
「微妙〜」
ああ……体育と言う青春すぎる授業に精を出して、輝かしいばかりの笑顔で汗を流すナマエちゃんの何と……ハッ!いかん!!俺は何を考えているんだあぁあああ
≪おいそこの怪しいパトカー≫
≪むっ!誰が怪しいパトカーだ……ってお前はゴッドマグナスじゃないか!≫
路肩に停めていた俺の隣に巨大な青い色のカートランスポーターが停車してきた。
先述の通りにゴッドマグナスだった。カーライトを点灯させて、いつもの調子で問いかけてくる。
≪スピードブレイカーは何処だ?≫
≪…お前も相変わらずだな。また何処かのハイウェイで赤い車を追い掛け回してるだろうさ≫
スピードブレイカーのアホに絆されたお陰で幾分穏やかになってくれたゴッドマグナス
カーステレオからは、訝しげな声が聞こえてきた
≪…注意しに行かないでいいのか?≫
≪俺は今は忙しい≫
≪……人間の小娘を見守るのが、か?≫
≪な、なな何とでも言え!!≫
≪……テメェも相変わらずだ。じゃあな≫
大きなエンジン音を立ててゴッドマグナスが走り去る
邪魔者は居なくなった。再びナマエちゃんの授業風景を見守る行動に移る
練習試合をしているのか、相手は男子ペアだった
男子の一人が放ったボールが、ナマエちゃんの頬を掠めて飛んだ
何してくれてるんだあの男は!タイホだ!!