TF女主長編 | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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再会を願って



「行こう、ナマエ。一緒に。私が一緒にいて、傍にいるから」アレクサが私の手を引っ張る。いつものように力強く私の手を。昔から何も変わらないその瞳で
「でも、私はきっとみんなの、アレクサの足手まといになる。行けないよ、」

「強くなりたいんでしょ?」

「………そう、だったけど」

「スタースクリームに逢いたいんじゃないの?」

「…!」

「きっとスタースクリームもナマエに逢いたいと想ってるよ」

「…うそだ、」

「本当よ!!」


前にサイバトロンの皆と一緒に出てた時襲撃してきた軍団の中にスタースクリームが居たの!何かを捜してるみたいだったよ?でもそれがいないって分かって、安堵みたいな…淋しそうな…そんな表情を浮かべてたの、あのスタースクリームがよ?


「きっとあれはナマエを捜してたのよ!」

「違う、ちがうよアレクサ…だって…スタースクリームは、」

「つべこべ言わない!!さ、早く!薬持った!?」

「わっ…!あ、アレクサッ…!」


アレクサの後ろに乗せられ、慌ててアレクサの腰に腕を回す。
飛ばすよ!捕まってなきゃ振り落としちゃうから!等と物騒な事を言い出すから怖くなって目をきつく瞑れば、スクーターは急発進した。



― ― ―


長いこと走り続けていたスクーターが止まる。何処に着いたのだろう、と辺りを見渡せば正しくそこで両軍の戦闘が起きていた。戦っていたのは、コンボイ率いるサイバトロン軍と、「……!?







スタースクリームッ!!!










《!?っ、 ナマエ、!》



焦がれた貴方がそこにいた。攻撃を受けて、ボロボロになった姿で、きっとメガトロンの命令に嫌々従って、それでも戦い続けているスタースクリームに、涙が出そう。でも泣かない、そうだ、泣かないことにしよう、大丈夫、今は心臓も痛くない呼吸も苦しくない大丈夫。皆に斬りかかっていた動きを止めて私の方を見たまま静止する。しかし戦いは止まってはいない。コンボイが此方を心配そうに伺って攻撃を躊躇ってはいるが、好戦的な仲間達は気にしながらも攻撃を続けている。「じゃあ、私はラッド達のところに行くから、ナマエ」アレクサはそう言って走り出した。なるべく安全なところを選んで連れて来てくれたアーシーかもしれないが、此処も砲弾が飛び交っている。頭上で大きく砲弾が破裂した音がして、思わず耳を塞いでしゃがみ込んだ。誰かが狙いを誤ったのか故意的にかは分からないが、頭上に砲弾の雨が降り注いで来るのが見えた。「きゃっ…!!」《ナマエ!!!》大きな音がして、暗い影が射す。いくら経っても雨は降り注いでこなかった。恐る恐る目を開ければ覆い被さるようにして私の前に立つスタースクリームが目に入って来た。持っていた剣を一払い。その行動と、辺りに落下している弾で分かる。落ちてくる前にスタースクリームが全て切り落としたのだ。そんな彼の行動だけで泣きそうになる、愛おしくなる、離れたくなくなる。《……ナマエ、》「…」視線が重なる。一時でいい。この瞬間が止まれば良いのに。でも、
《デストロン軍団、退却だ》冷たいその言葉は、彼から発せられたものだった。