≪これは……ガルバトロン様でしたか≫
抱えていたナマエを地面に下ろし、ナイトスクリームは地に降り立ったガルバトロンに恭しく頭を垂れた
ガルバトロンの鋭い眼が厳しく細められる
≪ナイトスクリーム……一体どういう事だ?ワシが命じた任務とは関係していないようだが?≫
≪も、申し訳ありません…≫
≪謝罪が聞きたいわけではない。理由を訊いておるのだ≫
≪は……っ≫
≪フン…≫
ナイトスクリームには答えられないと判断したガルバトロンはそのまま、
大人しく此方を見ていたナマエに視線を移す
射竦められるようなその視線に、ナマエは身体を強張らせた
≪なんだぁ…?この人間は≫
「………メ、メガトロン…?」
先の戦いで行方不明になったと聞いていたが、この目の前に立つ存在はどうもメガトロンとは似ていない
ナイトスクリームも、「ガルバトロン」と呼びかけていた
まさか、アレクサやラッドが言っていた、
「奴等が戻ってきたんだ」と言うのは、この2人が関係しているのか
≪ナイトスクリーム…貴様がワシに命じた指令に背いたのはこの人間の女が関係しているのか?≫
≪…………い、いえ…≫
≪…いつにもましてダンマリだなナイトスクリーム……ふぅん…≫
「きゃっ…!」
≪!≫
ガルバトロンに身体を鷲掴みにされる。
器官が外部からの突然の圧迫を受けて狭まり、呼吸が一瞬止まった
ナマエの小さな悲鳴に反応したナイトスクリームだが、
己の主に進言すること叶わず、フラフラと手を漂わせている
ナマエに顔を近づけ、ガルバトロンは考える
≪……見覚えはあるな、この顔≫
「ガ、ガルバトロン…?…あ、貴方……生きてたの?」
≪む?人間、ワシのことを知っているのか≫
「こ、コンボイには?会ったの?どうやってユニクロンから…その身体は…」
≪ええい煩い黙れ! ナイトスクリーム!!≫
≪、はっ!≫
≪この女は貴様に預ける!≫
≪は、は?≫
≪暫く拘束しておけ。人質だ。グランドコンボイと知り合いのようだからな≫
≪…はい、畏まりました≫
≪行くぞ≫
ナマエをナイトスクリームの方へ放り投げ、ガルバトロンはトランスフォームして飛び立つ。
ナマエのその身体を難なくキャッチしたナイトスクリームも、一瞬ナマエへと視線を寄越したが、すぐにナマエを体内に押入れ、自身もトランスフォームしガルバトロンの後ろへと続いた
シートの上で丸くなってナマエは地上に眼を向ける
急速に遠ざかっていく地上に、恐らく自分のことを待っているであろうタクシーが見えた