≪早よ出てこんかいお前は!!!!≫
≪い、いや…分かってはいるんだがどうにも…≫
≪どうにもこうにもじゃねぇ!ナマエのあの姿アンタも見たんだろ?いじらしいだろ?出て行かない方がおかしいだろ!≫
≪なに!?まさかオートボルト…君、この数年でナマエのことを好きになったんじゃ…≫
≪………そんな事はどうでもいいだろ!早く会いに行けよ!≫
≪お、おい!≫
ヘリコプターとスポーツカーが言い争う不思議な光景は誰も見ていないのは幸いだ
しかしこの動き出さないヘリコプターには本当に頭が下がるし、頭を痛める
誰も見ていないから、とオートボルトはロボットモードになり、
動き出す気配のないライブコンボイをガンガンと小突く
≪…あー、もう!早いトコ出てかねーと俺奪っちまうぞ!≫
≪!!≫
スタントンさんに留守番を任されていたのはオートボルトなのに、それを引き受けちゃって良かったのかな、お客さん来たらどうしようかな、とナマエは考えながら片付けの途中だった機材を覚えてる限りで片して行く
動いてないとまた不安に苛まれてしまうから
今、すごくライブコンボイが恋しい。オートボルトには見透かされてしまったけど、
我慢出来る許容範囲がある。今は丁度、その箍が外れてフラストレーションが爆発してしまった
会いたくてたまらない日々は何度もあったが、
ギャラクシーコンボイが送った「計画が佳境」と言う通信のせいで余計に、だ
早く終わらないかな、帰ってこないかな、と考えてはまた溜息を吐く
「……はぁ…… …あっ!!」
積み上げていた箱が崩れる。ガシャン!と中に入っていた金属がかち合って鳴り響いた音に耳を塞ぎ、あぁまた片付けなければ、と目を開いて、
そこに飛び込んできた1つの存在に気付く
「……… え?」
見間違えるだろうか。
影がかかり少し翳った橙色の機体
特徴的な背中の一対の羽のようなパーツは
シルエットに特徴を付けている
考える前に口は正直に呟いた
「……ライブコンボイ?」
その存在がフッと笑った
≪あぁ、そうだよナマエ≫
いつ、とか、どうして、とか、色々言いたいことはあったけど、
「… ラ、イブコンボイッ!!」
≪おっと≫
抱きしめてみればその全ての想いが通じることだろう
≪…ただいま、ナマエ≫
「お、お帰…なさい…っ」
≪薬指の約束は覚えてるかな?≫
「うん…!」
≪それは良かった≫
「…え…なに?用意して…たり?」
≪いや…急な帰還だったからまだなんだが≫
「…そう!ど、どうしてこんな、早く…皆は?」
≪僕だけ一足先に帰還したんだ≫
ナマエに会いたくて、と言いたかったけど、男の矜持が邪魔をした
それでは余りにも女々しい。ナマエに厭きられてしまうかもしれないし
「オートボルトと話してたのよ。ライブコンボイ、早く帰って来ないかなって」
≪あぁそうなのか≫
知ってるよ、ナマエ
「…あっ」
≪ん?≫
「…いつまで、コッチにいられるの?」
≪…そうだな… ナマエが望むまで、かな≫
「!もう宇宙に行かなくていいの?」
≪呼び出しがない限りはね≫
「ほんと?やったぁ!じゃあ、いっぱい宇宙でのお話聞かせてくれる?」
≪あぁ勿論だ≫
冒頭で、ナマエは成長したと伝えたが、その心は昔のままだったようだ
とりあえず今はナマエとの再会の余韻に浸りたい。
火付け役となり、さっき少し危害を加えてしまったかつての部下に謝罪とまだドライブ続けてくれて構わないよ、と通信を送った