TF女主長編 | ナノ
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寂しいよ悲しいよ、怖いよ





「喋らない人ってこわいよね。何考えてるのかわかんないし。
折角口があるのに、喋らない人って損してると思わない?」
小さい頃からあまり口数の多い方でなく、誰と話しても思わず敬語になってしまう私は、クラスでも人気のある女の子が言っていたこの言葉を未だに覚えている
そうか、やっぱり喋らない子って気味悪がられるんだ、
子どもながらにクラスメートや周りの人たちに好かれたくて、なるだけ明るい子と言う印象を与えようと振舞っていた
ミコと仲が良くなって、私以上に明るい子で助かっている部分もある。私は本来話すのは苦手。人の話に耳を傾けている方が余程楽しいの





だからサウンドウェーブさんは色々と、私の中で奇異な存在だった
トランスフォーマー、と呼ばれる生命体に会ってしまった時に驚きすぎて感覚も麻痺っているのかもしれない
スマートでシャープな姿をしているサウンドウェーブさんは無口だ。寧ろソレすらも通り越している気がする

喋らない理由は訊かない。訊いたって無意味だ。その人が話したい、喋りたい時に私は耳を傾ければいい。そう、そう言う簡単なお話なの










―― ≪ "I must kill you." ≫






「!!」



ゆめをみた。サウンドウェーブさんに、私が殺されるゆめだ
暗く何処とも解らぬ空間で、私とサウンドウェーブさんが対峙している。私のすぐ後ろには、ミコやジャックやラフと思しき死体が倒れ、その3人を抱きかかえるようにしてアーシーやオプティマス達がボロボロの姿で意識を失っている
私の方へと伸ばされたサウンドウェーブさんの指先には、赤とも紫とも取れるどす黒い液体が付着している。その手がゆっくりと私の首に回った

私はこの光景を知っている。先日、サウンドウェーブさんと会った時と同じだ
もしかしなくてもあの時、サウンドウェーブさんは私を殺したかったのかしら
まさか、夢の中にまで、



「や…やだ…っ やめてください、サ…!」

≪………≫



―― Sorry, my dear...


多重にエフェクトの掛かった電子音で私の名前を呼ばれたような気がして、
私の首に激痛が走り、そして意識を失ったのだ









「………」



嫌なゆめだった

どこかで、いつかはそうなってしまうかもしれない、と思っていた私の心を脳が読み取ったのかしら、



「……わたし、いつかサウンドウェーブさんに 殺されちゃうのかなぁ…」



ポタ、と握り締め汗ばんだシーツに、私の涙が吸い込まれる




「……やだなぁ…」




死にたく、ないよ