「…な、なんだよ…?」
その4台、そして黄色のカマロに包囲されサムも怖気づく
横にいたミカエラが、心配そうに私に視線を送ってきた。
私も不安で一杯だったけど、腕の中のロングビューは嬉しそうにしているのが精神を安定させてくれていた。
とても短い付き合いではあるが、私はもうすでにこの小さな双眼鏡ロボットを信頼しきってしまっている
だからナマエは、ミカエラに力強く頷いてみせた。
一瞬面食らったような顔をしたミカエラだったが、ニコっと笑った
最後に入ってきたピーターベルトのトラックが、私達4人の前に現れ出る
近付かれただけでその重厚感と圧力に腰が引けそうになるのを抑えながら、
後ずさりそうになっているサムの背中を手で押さえつける
「ナマエっ」
「に、逃げちゃ駄目よ、サム」
「で、でも… !?」
「!!」
「えっ!?」
一様にして驚愕の声を上げる
何故なら、目の前のトレーラーが立ち上がっているのだ
目にも留まらぬ速さでボンネットが開かれ、後部が広がり脚部と思しき物が見えてくる
ガシャン、ガシャン、そしてタイヤがクルクル回る音
何て近所迷惑なのかしら、と冷静な思考が片隅に生まれる
煩わしそうに肩を動かし、直径何mもありそうな巨大な掌がドン!と重たい音を立てながら地面に置かれる。その衝撃で身体がよろめく。
トレーラーから変形――それ以外に何と例えればいいのか――したロボットの
身体の上部中央に姿を現したその顔は、厳格そうで、
厳しく細められた青い瞳は私達を見下ろしている
一番前に押しやられたサムは、おっかなびっくり、でも好奇心を隠せていない
そんな彼に、巨大な青いロボットはしゃがみ込みながら、ぐっと顔を近づけた
≪……アーチボルト・ウィトウィッキーの子孫、サミュエル・ウィトウィッキーはお前か?≫
発せられた声は、見た目に恥じない低い重たさを持った声だ
「……名前を知ってるわ…っ」
呟かれたミカエラの言葉は無意識だったのだろう
「あ…あぁ…」
≪私は、オプティマス・プライム 我々は惑星セイバートロン星からやって来た金属生命体だ≫
≪オートロボット、"オートボット"と呼んでくれ≫
「オートボット……」
オプティマス・プライム――そう名乗ったロボットの口から出た言葉にいくつか聞きなれない単語が含まれていた
ミカエラの横に立っていた黄緑色のロボットがそう付け加える。
≪よぅ!お姉ちゃん達≫
「!?」
私のすぐ後ろに立っている2人の内の1人、銀色のロボットが私の背中をトンとつっついて来た。
硬い感触に驚いて振り返る。その銀色のロボット――オプティマス・プライムが紹介するには、『我が軍の将校で、名称はジャズ』らしい――はその小柄な体型に沿って身軽で、華麗にバク宙を決めて見せる。
≪此処、結構イイトコじゃねぇか≫
そう言って乗り捨てられていた車の上にドンッと腰掛け腕を組む。何とも荒々しいが、人間臭い行動だ。
車のガラスが割れるような音が聞こえてきたけれど
でもそこで、ある事に気付く。要するにこの人たちは宇宙人で、それなのにどうしてこんな風に流暢に――
「何でそんな風に喋れるの?」
浮かんだ疑問をサムが口にしてくれる
返答はこうだ
≪地球の言語をインターネットを通じて学んだのだ≫
……うん、よく分からない世界だわ