・出会い話?
人間は好かない。だから俺の特殊能力は奴等に見つからずに済む、と言う利点があるが
ずっとなっているにはエネルギーを大量に消費してしまうから多用出来ない
それでもディーノはこうしてホログラム化になって、人間を避けることを望んだ
オプティマスやバンブルビー達のようにはなれない。アイツ等とは違うのだ
どうして こうなった
「痛いじゃないの!どうしてこんな所を透明になって歩いてるの?見えなくて貴方にブチ当たったじゃない!」
足元でコレでもかと喚き散らす女は赤くなった自分の鼻を押さえている
意思の強そうな瞳には水滴が浮いている
人間によく見られる感情表現の一つ、「泣く」だったか、
≪……あぁあうるせぇな!静かにしろ!≫
「何よ!そっちが悪いんでしょ!」
≪なんだと!?≫
「大勢の人間が往来する場所で見えなくならないでよ!」
この女……!
人間の言葉が癇に障り、腕を揮おうと動かした途端、女の顔が歪んだ
あれほど突っ掛かってきたくせに、そうやって怯える
ディーノは人間のそう言うところもいけ好かなかった
隊員とディーノが喧嘩をしていると、
周りに集まってきた野次馬が好奇な目を向けている
「私達に武器向けないで」
≪オレに命令するなヒューマン≫
「ヒューマンじゃなくて、私にはナマエ、って名前があるわ」
≪お前の名前は、オレが覚えるのに値する名前なのか?≫
「損は無いはずよ」
≪損かどうかはオレが決める。損だ≫
「アンタって奴は…っ!」
人間の女――ナマエの感情が昂ぶったのが分かったのか、仲間である隊員達が「落ち着けナマエ!」と声を掛けながらナマエの身体を止めている
途端に興醒めしたディーノは、フン、と鼻を鳴らし輪の中から抜け出そうとした
その背中にナマエが声をかける
「ディーノ!その一匹狼ぶるの、やめた方がいいわよ!」
口に出された己の名前に振り向くことはなく、ディーノは無視して仲間達の方に向かって歩いていった