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あなたの前で、泣いたのは二度



「またいなくなっちゃうなら、最初から私のことを見つけたりしないで」

と、大きな瞳に大粒の涙を溜めて泣くのを堪えるナマエが俯いたまま、俺の方を見てくれなかったから、手に乗るように促したけど首を振るばかりで悲しくなる。


≪…どういう、意味だ?≫


聡明なナマエの言うことはいつも難解で理解に苦しむ。初めて会った時もそうだった。人間だと判断し、攻撃しようとした俺に見事なまでの笑顔で「スタースクリーム!」と言って駆け寄ってきたのだ。あの時、本当に自分がナマエに向けて発砲しなくて良かったと、心の底からそう思う。でなければ、俺はいつまでも記憶を失ったままだったかもしれないのだ。ナマエのことも、思い出せなかったかもしれない
ぼろぼろぼろぼろ、ナマエの涙が遂に零れ始める。ボロボロボロボロ、ああ、俺は昔もナマエを泣かせてしまったことがある。あの時より、大きくなった身長、伸びた髪の毛、女性らしさを持ち始めた身体、声の高さは変わらず、意思の強い瞳もそのまま。


≪ナマエ、すまない。俺にはお前が泣いている理由が分からない。教えてくれないか≫
「… … …」


クイ、と、ナマエが手を下に向けながら手招きをする。この行動の意味は、俺からナマエと目線を合わしてほしい時の仕草だ。
地面に手をついて、グッとナマエに顔を近づける。ナマエは俺の顔の、傷に手を添えてきた。



「ナイトスクリームは、また私の前からいなくなっちゃうの?」
≪……何だと?≫
「だって…、そんな予感がするの。胸騒ぎみたいな、運命みたいな…ねぇ、ナイトスクリームは…あの頃みたいに、私の前から消えちゃったりしないよね?」
≪…………それは分からん≫
「… !」



驚くナマエの顔に、そっと指を近付ける。上手く涙を拭うことは出来なかったが、指に伝った雫の暖かさにスパークが疼いた。いとしい、と



≪俺は、あの方の御意思の許だけに存在し、動く。あのお方が死ねと命令するのなら死ぬし、あのお方が死ぬのなら俺もあの方を追うだろう。サイバトロンの連中と交戦し、もしかしたらそこで討死するかもしれない。死、なんて何処にでも転がっているんだ。だから…ナマエの前からまた、いなくなってしまうことだってある≫
「…っ、いや、嫌だよそんなのぉっ…」
≪…だがな、ナマエ。俺は、いつかその時が来るまで、ずっとお前の傍にいようと想う≫
「え………」


また零れそうだったナマエの涙がピタッと止まった。


≪お前に淋しい思いをさせるのは、あの時の1回で最後だ。ナマエがいつも笑顔でいられるように、ナマエが笑顔になれる理由が俺ならば、ずっとナマエの傍にいる≫
「…っ!ほ、本当に…?」
≪ああ。もう泣かせん。約束だ≫
「…っ、   "――― ―スクリーム" …!」



君が僕の名前を呼ぶ。それだけで、この先の未来もずっと君を愛し続けることが出来るような気がするんだ