・昔旅の途中で訪れた戦火の星に住んでいた彼女の事を想い出すベクタープライム
今の自分が彼女にあげられるものと言ったら私のこの両手一杯分にしかない私自身の力しかないのかもしれない。自分の生まれた星が炎に包まれて行く様を見つめていた彼女の重苦しい目。それは今も脳裏に焼き付いて離れることはない。共に来ないか、と彼女を誘い出した。此処に居ては、きっと彼女は直ぐに死んでしまう。だが彼女は首を縦には振らなかった。≪此処以外の星に行って其処で幸せを見つけることは難しいと思うから≫あの時、私は彼女にこう言うべきだった
――― 私が、君を 幸せにする
声帯にへばりついたように、其処から先へは頑として動かなかった音の集合体。今でも後悔をし続ける自分がいる
しかし、あの時の彼女は去る直前に笑ってこう言ったのだ
≪私より、貴方が幸せになってね ベクタープライム≫
思い出の中の彼女は、そして灰に包まれた
―― ナマエ、私は 幸せだった ( 君は どうだった?、)
そうですね、
彼女はあれが永遠だったと知っていたのでしょう