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帝王の戯れ



≪ …え…≫



宙に手を伸ばし、真白い光にマスターメガトロン様の身体が包まれ、
チップスクエアのビジョンが脳裏を横切ったかと思うと、一際強い振動がした
倒れそうになった身体をクロミアと抱きしめあいながら何とか支えあっていると、
突然放出された光の粒の中から、見間違えることのない姿が現れる


クロミアからそっと手を放し、よろめきながらそれに近寄る
先ほど見た光の膜と、同じ色をしている。あれは本当にマスターメガトロン様?



≪……マスター…メガトロン様…?≫



うっすらと開かれた目に睨み付けられる
が、私が"何で"あるかを確認すると、マスターメガトロン様はフッと笑われた



≪…ナマエ≫

≪は、はい≫


≪マスターメガトロンさまぁ!ご無事ですかぁ!?≫
≪心配してたんですよ!≫
≪マスターメガトロン!≫



サンダークラッカーやクロミア、フレイムコンボイが口々に声を掛けながら此方へと近寄ってくる。そちらの方を見たマスターメガトロン様が、右手の感度を確かめながら御手を天へと翳した



≪ワシは……マスターガルバトロン…≫

≪マスター…≫
≪ガルバトロン?≫



光を反射し、輝く白銀の身体を見ながら、告げられた名前を反芻する
マスターガルバトロン様、これは、いったい



≪チップスクエアの力を取り込んだ、新しい力だ…
…感じるぞ、この身の内からあふれ出す、この力だ…!≫



恍惚と、御身から溢れる力のオーラを眺めながらマスターガルバトロン様は仰られた
確かに、フレイムコンボイやクロミア、この私でさえ、マスターガルバトロン様から溢れ出る力の強大さに尻込みしそうなぐらいだ
しかし後ずさってはならないと、足に力を入れて近寄る



≪あ、新しい身体を手に入れられたのですか? お怪我は、癒えられたので…?≫

≪フン…  …ナマエ、気になるか≫

≪え?≫


≪ワシの身体が、気になるか?≫



歪められた口角に目を奪われている隙に、マスターガルバトロン様は私の腕を掴み引き寄せた
押し付けられた場所はマスターガルバトロン様の腹部
滲み出していたオーラに触れると、スパークが恐怖を訴えざわついた



≪マ、マスターガルバトロン様!?≫

≪気になるのなら、貴様もワシと共にチップスクエアの中に入ってみるか…?≫

≪い、いえ!その、ようなことは!≫

≪フン、遠慮せずとも良い≫

≪…!≫



押さえつけられてしまっているこの状況では、自らの力で抜け出すことは不可能だ
それは、れっきとした力の差であり、そして押さえつけている本人がマスターガルバトロン様であること



≪マスターガルバトロン、その辺にしておけばどうだぁ…サイバトロンの奴らを、追わなくていいのかァ?≫

≪…そうであったな≫

≪…≫



フレイムコンボイの言葉に返事をしたマスターガルバトロン様が、パッと手を放された

オーラと体勢の余韻でフラフラとよろめいてしまい、近くに寄って来て支えてくれたクロミアに睨まれる



≪何よ、しっかりしなさいよナマエ≫

≪あ、ありがとうクロミア…≫

≪マスターガルバトロン様の魅力に、アテられちゃったの?≫

≪ば、バカ!そんなんじゃないわ!≫

≪ふーん どうだか?≫



クロミアからマスターガルバトロン様に目線を向けると、お1人で飛び去って行く後だった
サンダークラッカーとランドバレット達が「待ってくださーい!マスターガルバトロンさまー!」と声を掛けながら追いかけて行っているのが見え、
私とクロミアも慌てて3人の後を追うのだった。フレイムコンボイ、あなたも急いで!