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異文化コミュニケーション?




いや本当に地球は素晴らしい。
その中でもやはりナマエの故郷である日本も美しい。
緑豊かだがその中で発展していく工業技術も眼を見張るものがある。
しかしやはり私のようなジープ車が走っている光景と言うのはあまり街中では見ないらしく、専らデートは海沿いの街道や、山の中を走った。私には返ってラッキーな出来事だったが



「関東地方一帯を紹介して回ったけど、興味を惹かれる場所はあった?」

《ああ勿論。"東京タワー"だろ?それから"雷門"…"コッカイギジドウ"や"ドウトンボリ"もなかなか興味深い造形だった!》

「気に入ってくれたなら私も嬉しいよ」

《やはり君とよく似た顔立ちの人間達ばかりだったな》

「ご感想は?」

《君に似て穏やかな作りをしている》



日本人の方々を私基準で考えているからしょうがないのだが、ハウンドにそれを伝えても恐らく分かってくれないだろう、と思い諦めて席に身を倒す。



今季節は夏。多摩川の河川敷で今日は花火大会が行われる予定だ。
それを伝えると、ハウンドは「ハナビ?」と訊ねてきた。
どう説明すればいいものか、「色とりどりの爆薬が、花の形みたいになって夜空に咲くの」と何とも意味の分からない説明をしてしまったのだがそれでもハウンドは興味を惹かれたらしく是非見てみたい!と興奮していた。



夜になって、河川敷にはだんだん人が集まってくる。
ジープを人気の無い場所にまで誘導して、此処でトランスフォームしてはいけない、と釘をさしておく。
ハウンドはわくわくした様子で夜空を見上げていた。その反応が可愛らしくて思わず笑った。もうそろそろ始まる







ヒュー………



―― ドン!!!




《!?》



大きな爆発音がしたその後に開いた黄色の花火。観客からは一斉にオー!と言う歓声が上がり、私も久しぶりに故郷の花火を見ることが出来て感動している。



「ハウンド、どう?きにいっ…」

《素晴らしい!!!!まったくもって素晴らしい!!こんな芸術が地球にはあっただなんて!驚きだよ!!》

「…良かったわ」


車が喋っているという奇異な状況だが、周りの人たちは花火に夢中なのとその音によって聞こえていないらしい。普段ならば注意するところだが、今日ぐらいはまあいいだろう。



花火はいよいよ終盤にさしかかり、怒涛の連発が続く。
テンションも最高潮になり、ハウンドにいたっては見入りすぎて無言になった。

最後にナイアガラ花火が打ち上げられて、大歓声のまま花火大会は終了した。



― ― ―


《いや、もう本当に素晴らしかったよ………》

「うん、見てたら伝わってきたよ」

《もう帰還しなければならない時間になっていただなんて…気付かなかったな》



名残惜しそうに花火が打ち上げられた空を見上げるハウンド。
その顔には何処か淋しそうな表情が刻まれている。


あ、そうだ



「ハウンド、帰還する前に、少しスーパーに寄ってくれる?」

《構わないよ。何を買うんだい?》

「手持ち花火!」

《手持ち花火?さっきの花火と関係あるかい?》

「ええ、その名の通り、手で持って遊ぶ花火よ。さっきのに比べたら規模も小さいけど、絶対に楽しいと思うわ」

《それはいいね!買って帰ろうか》

「経費で落としちゃいましょうか。それで大量に買ってかえりましょ。カーリーやスパイクたちにも見せたいし」

《賛成だ!》



それから、ハウンドやバンブルやスパイク達が手持ち花火をいたく気に入り、よく取り寄せてくれとせがまれるようになった。