第三者視点から当事者達の全てを推し量る事は出来ない、とホイルジャックは思うし、それを嘆くこともない。深入りしすぎては彼ら達の失礼に当たるし、何よりもそんな自分を無粋だし無遠慮だとも思う。でもだがしかしButちょっと待ってもらいたい
「ラチェットー、これは何ー?」
≪それはメスだ。そんな物も知らなかったのか?≫
「じゃあこっちのゴツゴツしいゴリゴリした奴は?」
≪それはチェーンソーだな≫
「どうしてリペアルームにチェーンソー?」
≪主に暴れる患者を取り押さえる用だ≫
「またまた、ラチェット面白いねぇ」
≪はは、ジョークだとバレてしまったかね≫
うーん、ラチェット君のあれはジョークだったのか。我輩うっかり騙されちゃったなー。近くにいたアイアンハイドやクリフやアダムス達なんかは本気にして震え上がってるよ可哀想に
ラチェット君に最近人間のお友達が出来たらしい。名前はナマエ、17歳、雌
どうやらカーリーの友達で、その繋がりで我々のことを知ったらしい
カーリーのように派手ではなく、至ってシンプルな構造で雌らしい丸い体つきだ
カーリーとは違いどこか螺子の抜けたお気楽な性格をしていて、
アイアンハイドやクリフたちを(手荒く)(ピー音を入れておいてくれな)治療しているところを見かけて興味を持ったらしく、その後ろをついて回っている姿をよく見る
呑気にチェーンソーや拘束用ベルト付き治療台を説明してあげているラチェット君も楽しそうだ。
≪うん、良きかな良きかな、ってか?≫
≪何も良くないだろホイルジャック!見たかアレ!≫
≪チェーンソーだぞチェーンソー!≫
≪何でアレをあんなイイ笑顔で人間の子どもに説明してるんだラチェットは!≫
≪楽しいんやろう。今まで自分の仕事場に興味を持ってくれる存在がおらんかったからねぇ≫
ほら今だって治療台を指差しながら≪君も此処に寝てみるかい?≫なんて言いながらナマエ君を誘ってるじゃないか。きっと今凄く楽しいんだろうなぁラチェット君は
何だか我輩まで嬉しい気持ちになってくるねぇ
≪…最近のラチェットはなんか変だぞ…。妙に浮ついてると言うか…≫
≪だからナマエ君のせいじゃろうて≫
≪? あんな人間1人の存在ぐらいであんなになっちゃうものなのか?≫
≪クリフ君、恋と言うのはね、かくも恐ろしきモノなのだよ≫
≪は?≫
≪…は!?≫
≪ラチェットが、≫
恋!?
やれやれそんな大声で叫ぶものじゃないよ。見なさい、ラチェット君がこっち振り返ってるよ。おークワバラクワバラ、我輩は我輩の研究室にエスケープだ