「ディーノって、やっぱりイタ男だから肉食系なの?」
≪"ニクショクケイ"? オイ、意味の分かる言葉話せ≫
「えーと…恋愛とか女の人に対して積極的にガツガツ行くタイプの性格の人のことだよ」
≪へぇ…≫
≪…………≫
≪……サイドスワイプ≫
≪…あ、アイアンハイド≫
倉庫の一画で座り込んで会話をしている一人と一体を見つめているもう一体
一人はNESTの研究者であるナマエと、一体はディーノ、もう一体はそんな二人の姿を柱の影から、あればハンカチを噛み締めているかもしれなぐらい悔しそうに見つめているサイドスワイプだった
そんなサイドスワイプの後ろに立つのは呆れ顔のアイアンハイド
≪…そんなところで突っ立ってないで、割り込んで、来い!≫
≪…!?わわわぁぁあっ!≫
アイアンハイドがサイドスワイプの足を押し出せば、力に倣ってサイドスワイプの身体が滑り出す。その行く手にはナマエとディーノ
≪うわあああああぁぁぁぁ…!≫
「サイドスワイプ!?」
≪お、オイ!止まれバカ!≫
≪止めろぉおおぉお!≫
≪っち…!≫
ナマエを一瞥したディーノが、そのまま突っ込んでくるサイドスワイプに突撃する。
火花を散らし、床に跡を付けながら、サイドスワイプは荒々しく減速した。
≪と、止まった…≫
≪…サイドスワイプ!テメェ、あのまま突っ込んきやがってたら、ナマエが怪我したかもしれねぇんだぜ!≫
≪しかし、あ、アイアンハイドが俺を押したんだ!≫
≪理由になるかよ!≫
「お、落ち着いて二人とも 私は大丈夫だったから。ね?」
≪……ナマエが、そこまで言うんだったら…≫
≪…ご、ごめんなナマエ≫
喧嘩を止めてしおらしくなった二体は思い直してナマエの前に腰を落ち着ける。
「…それで?サイドスワイプ、何か用事でもあった?」
≪よ、用事っつーか…その……≫
≪何だよ煮え切れねぇな ハキハキ喋りやがれ≫
≪…ディーノとは話してない。俺はナマエと話してるんだ≫
≪んだと…?≫
また話をぶり返しそうになった二体を笑って諌める
「まぁまぁ サイドスワイプ、今ねディーノと肉食系男子の話してたんだー」
≪俺様とナマエと二人でだ 羨ましいだろ?≫
≪(イラァッ…) …おう、聞いてた≫
「聞いてた…?」
≪あっ、いや、それで?≫
「それでね。ディーノは肉食系だと思うんだけど、サイドスワイプは何だか草食系っぽいよね」
≪ヘッ 草食系だってよ、カッコワリ≫
≪…!ナマエ、何で俺が草食系なんだよ!≫
「え?だって、私のイメージだけど、サイドスワイプは何だか相手を優しく大切に大切にしてくれそうなんだもん」
≪!!≫
≪は!?俺だってお前を優しく大切にしてんだろ?≫
「私を…?」
ナマエに詰め寄ったディーノを横からサイドスワイプが押しのけナマエの前に躍り出る。
≪ナマエは、ぶっちゃけ草食系と肉食系とだったらどっちの男がタイプなんだ!?≫
「え…うーん、どっちかと言えば、草食系の人かなーガツガツしてる人はチョット」
≪!!?≫
≪ぃよっしゃぁー!ディーノ、お前、事実上フラれてやんの!≫
≪ぐっ…!べ、別にナマエは誰もお前の事を好き、なんざ言ってねぇだろーが!ぬか喜びしてんじゃねぇよこのホイール野郎!≫
≪誰がタイヤ野郎だ、このペルファボーレ野郎!アホの一つ覚え!≫
≪あんま言ったことねぇだろうが!たった一回の発言がお前の耳ん中に残ってるだけじゃねーか!≫
「あーもう、喧嘩しないで!他の人の迷惑になるから!」
≪…はい≫
≪…はい≫
ナマエの言葉に素直に従って言い合いは止めるが、睨み合いは続いていた。話が何だか変な方向に行っているような気がするが。そもそもこの二人は何をそんなにムキになっているのか
「とりあえず落ち着…」
≪ナマエ!≫
「何?ディーノ」
≪俺は今日から草食系になる!!≫
「は?」
ナマエの顔を細く鋭い指で柔らかく包み込んだディーノが高らかに宣言する
≪そしてお前をオとしてみせる!≫
「……落とす?」
≪アッ!ディーノお前、ナマエから離れろ!≫
≪うるせぇ!お前こそさっさと何処にでも行きやがれ≫
≪お前が行け!≫
≪お前が去れ!≫
「うるさい!!!」
≪…はい≫≪…はい≫