「マスク付けてくぐもってるからいけないのよ」
≪…貴様等の言語が複雑なのが駄目なんだ≫
「あなた達にとって、英語なんて簡単じゃない」
休戦協定を結んだオートボットとディセプティコンの当面の住処がNEST基地なのは頷けるが、そこでサウンドウェーブとレーザービークは少し居辛そうにして過ごしていた。
忠誠を誓うべきメガトロンが望んだ協定だ、勿論それに付いていたいのだが、しかしどう考えても人間達との交流は己にとって何も得を生み出さない、とサウンドウェーブは考えていた。だから近付いてくる人間達とも深い係わり合いは見せなかったが、どうにもナマエと言うNESTの研究員の一人でディセプティコン達の精神的なお目付け役というその女にはそんな素振りは見せていなかった
≪良いんだ 私は必要最低限な事しか話さないキャラだから≫
「理由にならないわ!その数ある会話の時に上手く話せなかったらどうするのよ」
≪構わない どうせ私と会話をしたがる物好きな人間はお前だけだからな≫
「もう!バンブルビーでさえ頑張って話そうとしてるのに!」
≪う……アイツの話をするな……≫
バンブルビーに打ち抜かれた胸を押さえて幻肢痛に悩まされているサウンドウェーブに溜息を吐く。この分じゃ当分、人間とのコミュニケーションは上手く出来そうにないな、と思った
「はい、じゃあまずはaからね これはa、これはb…」
≪バカにするな 上手く話せないだけで英語を読むことなど容易い≫
あのサウンドウェーブが人間の女と打ち解けたように話し合っている姿を見て、レーザービークは独り、自分の上司の姿をサウンドウェーブ自身に見せてやりたいと思った